第4回〈連載について〉
精神疾患や向精神薬が自動車運転の技能に与える影響に関する研究
筆者:尾崎紀夫
(名古屋大学 精神疾患病態解明学 特任教授)
ポイント
●精神疾患やその治療薬である向精神薬が自動車運転の技能に与える影響に関する研究は、当事者の困りごとからスタートした。
●研究の成果から、向精神薬が自動車運転の技能に与える影響を評価する国の指針作成につながった
きっかけの困りごと
精神疾患や向精神薬が自動車運転の技能に与える影響に関する研究は、当事者の困りごとから始まりました。
当事者が「薬によってあきらめたこと・可能になったこと」の調査結果を図1に示します(全国精神障害者ネットワーク協議会 調査)。
「病気の治療」は約49%、
「人づきあい」は約39%の当事者が薬で可能になったと感じています。
一方、薬であきらめたのが、
「結婚」約41%、
「就職」約36%、
「車の運転」は約33%に達していました。