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第11回〈連載について〉
「倫理審査委員会」とは何ですか?
当事者・家族に関係があるのでしょうか?
筆者:夏苅郁子(なつかりいくこ)
やきつべの径診療所
ポイント
●精神疾患の病態解明・個別化医療・副作用の少ない新薬の開発には研究が必須です。
●研究に倫理面で不適切な部分がないかを審査する機関が「倫理審査委員会」です。
●精神疾患の研究では、精神疾患の当事者・家族が倫理審査委員会の委員となり、自身の目でその研究が妥当かどうかを審査することが求められます。
▼私が精神医学研究に協力する理由
当事者・家族の立場であることを公表した当時、私の気持ちは精神疾患の原因を解明できずにいる精神医学や人権侵害がたびたび報道される精神科医療への恨みで一杯でした。
しかし、恨みは人を元気にはさせてくれません。
あるとき、この連載を企画された尾崎先生から3つの論文を読むように勧められました。
それらは精神疾患の発症に関するさまざまな要因を、患者さんの誕生前から膨大な数を追跡して調べたものでした。
論文を読み、発症には環境要因以外に遺伝要因や偶発要因が影響すると改めて納得しました。
私の心に「病態解明や個別化医療の開発に協力したい」という希望が芽生えたのはこのときからです。