第6回〈連載について〉
脳科学とAIで心の元気に貢献する
筆者:川人光男
株式会社XNef 取締役社長
ATR脳情報通信総合研究所 所長
ポイント
●約15年前から、脳科学とAIを心の元気に役立てる研究開発プロジェクトが活動
●脳活動を測ることで、診断の補助になる脳回路マーカーが開発された
●まったく新しい治療法fMRIニューロフィードバックが開発された
私は、脳科学の基礎研究者です。
その中でも計算論的神経科学という脳科学と人工知能(AI)の境界領域で長らく研究してきました。
25年くらい前から、脳とコンピュータを直接つなぐブレインマシンインタフェースの研究開発に興味を持ちました。
▼最適な治療のために
15年くらい前からは、精神科医・脳科学者・AI技術者が協力して、脳科学とAIを心の元気に役立てる研究開発プロジェクトが立ち上がり、私も関わってきました。
ガンの医療では、患者さんごとに遺伝子検査を行って、その方に最も適した薬をAIも利用しながら選べるようになっています。
このような医療を精密医療、個別化医療と呼びますが、精神医学でも、脳の回路の計測とAIを使って、患者さんに最適な治療を初診時から選べるとすばらしいと思います。