第8回 (※連載について→コチラ)
精神疾患と妊娠出産 ~妊娠出産への準備を中心に
著者:尾崎紀夫(名古屋大学 精神疾患病態解明学 特任教授)
※尾崎先生より:当事者・ご家族へ。精神医学研究へのご意見・ご希望をぜひお寄せください。
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▼今回のポイント
◦将来の妊娠出産に備えることが重要
◦高プロラクチン血症は不妊の原因になり得る
◦妊娠前に治療薬の量や種類を最小限にして症状の安定を維持することが大切
◦妊娠前に体重を整えることが大切
精神科と妊娠出産
私は総合病院の精神科で勤務してきたので、勤務先には産科があり、当事者の妊娠出産に何度も関わりました。
多くは妊娠後に他の精神科医療機関から紹介されるケースですが、「将来の妊娠を考えているが、産科と精神科が併設された医療機関がよいと思うので変わりたい」と妊娠前に転院してくる方もいます。
妊娠前から主治医として関わり、本人や家族と情報を共有して準備を整え、産科医ともあらかじめ連携したうえで妊娠出産すると、その後も円滑だと感じています。
将来の妊娠に備え、知っていただくとよいこと
まず妊娠が成立するには、月経(排卵)があることが必要です。
無月経の原因の1つが、第4回(2022年11月号)で紹介した精神科処方薬で起こりやすい「高プロラクチン血症」です。
高プロラクチン血症の結果、卵巣の機能が低下して不妊を引き起こすことがあります。