このコーナーは、発達障害のさまざまな当事者、支援者の方に、言いたいことを伝えてもらうリレー連載です。
(※過去の内容は→コチラ)
第68回
教育現場に「科学」を導入するハードル
著者:河村優詞さん
(公立小学校特別支援学級担任・知的障害児教育ラボ)
▼個人web
https://kawamuramasashi.wixsite.com/tokubetsusien
▼知的障害児教育ラボweb
https://kawamuramasashi.wixsite.com/titekisyougaizi
私は公立小学校の特別支援学級の担任を務めつつ、「知的障害児教育ラボ」という団体で指導法開発に関する学術研究を行っています。
「言いたい放題」というテーマで発達障害を伴う子ども達にコメントをするとしたら、大好きな教え子らが頭に浮かび、
「本当に最高! 諸君らのおかげで日々幸せだ!」と、こんなコメントで終わってしまいます。
そこで、ここでは子ども達を取り巻く指導環境、特に教師の教え方の改善に着目しようと思います。
発達障害を伴う子ども達等に対して、科学的な根拠にもとづく有効な教え方を用い、子ども達のよい行いに目を向け、ポジティブに成長を促そうという動向が見られます。
これは大変にすばらしいことです。
しかしながら、そのような教え方が日本中に十分広まっているとは言い難い現状があります。
そもそもよい教え方を導入する以前に、越えるべきハードルがたくさんあるのです。
ここでは一般の方にも知ってほしい「ハードル」の一例を紹介します。
ハードル①
時間と労力
広く知られていますが、教師が新たな教え方を学ぶ時間が圧倒的に不足しています。
特にたくさん研修を受講せずとも…