第2回 (※連載について→コチラ)
新型コロナウイルス感染症と精神疾患
著者:尾崎紀夫(名古屋大学 精神疾患病態解明学 特任教授)
※尾崎先生より:当事者・ご家族へ。精神医学研究へのご意見・ご希望をぜひお寄せください。
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▼今回のポイント ☆今回の関連動画や資料は→コチラ
◦精神疾患の当事者は新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい
◦重症化しやすいことをふまえて、まずはワクチン接種が大事
◦ワクチン接種で100%防ぐことはできないので、予防や感染した場合の行動に注意
密を避けることの影響
2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、生活上、何かとお困りと思います。
たとえば「密を避ける」ために病院等で行う集団療法を休止せざるを得ず、当院の当事者の方々は家で過ごす時間が増えました。
その結果、「家が密」になって「息が詰まる」と外出しようとした当事者の方に、心配をした家族が「出かけても大丈夫なの?」と声をかけ、口論から調子を崩した方もいました。
一方、コロナ禍前は「複数名参加だと緊張する」とSST(社会生活スキルトレーニング)への参加をためらっていた方が、「密を避けるために1対1」の形式に変更したところ、ロールプレイへの参加から家族に自分の特性を伝えられて、家庭内での役割の発揮につながるというよい変化をもたらしたこともありました。
このように感染予防のため生活に支障や変化が生じますが、今回は、当事者の方々にとって新型コロナウイルス感染症がどのような意味を持つのか説明したいと思います。