筆者:松本俊彦
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部
※松本俊彦さんがオンラインこんぼ亭に出演!
「ダメ!と止める支援からハーム・リダクション的な支援へ」
2025年2月15日(土)13:00~15:00 申込は→コチラ
本来、ハームリダクションは、薬物問題に対する公衆衛生政策の考え方です。
たとえばある国家が、薬物による健康被害から国民を守る政策を企画・立案するとしましょう。
▼国家が行う2つの対策
それには、まずは国民全体の「薬物使用量を減らす政策」が必要です。
通常、以下の2つの方法がとられます。
1つは「人々が薬物にアクセスする機会を減らすこと」(サプライリダクション)です。
具体的には、
課税する(税金をかける)、
購入可能年齢の制限をする、
販売店を限定する、
そして法律で使用・所持・販売を禁止するなどです。
もう1つは「薬物をほしがる人を減らすこと」(デマンドリダクション)です。
具体的には、
その薬物の健康被害情報を提供し(乱用防止教育)、好奇心から手を出す人を減らす、
そして、薬物をやめられない人に対して依存症治療を提供することです。
▼2つの対策の限界
しかし、こうした対策には限界があります。