戻る

特集9 年齢と薬の関係


著者:坪井貴嗣
杏林大学医学部 精神神経科学教室


はじめに

わが国の人口の高齢化に伴い、高齢者の精神疾患の治療は重要な課題となっています。
そのような中、2020年に日本うつ病学会から「高齢者のうつ病治療ガイドライン」が発表されました。

「うつ病治療ガイドライン第2版」自体は2016年にすでに発表されていましたが、高齢者のうつ病は一般成人のうつ病と異なる部分が多いので、その治療に求められるきめ細やかな対応が詳細にまとめられています。

もちろん薬でも、成人と65歳以上の高齢者は注意する点が異なりますので、気をつけなければなりません。
そこで、ここでは年齢と薬の関係について薬物動態と治療反応性を中心に解説します。


薬物動態

薬物動態とは、薬が体の中に投与されてから、外に排泄されるまでの過程(⇨特集1)を表すものとされています。
そして薬物動態を考える際には…

戻る   続きを読むには賛助会員になってログインしてください。