著:副島賢和(そえじま まさかず)
(昭和大学大学院 保健医療学研究科 准教授)
プロフィール:病気のある子どもたちの教育保障について考えています。院内学級や病棟・外来診察室で子どもたちと関わっています。
※お知らせ:副島先生は「リカバリーフォーラム2022」のシンポジウムに出演予定です。
コロナ禍の状況で
「マスクしなさい」
「うつりますよ」
「触っちゃダメ」
「大きな声出さない」
「集まってはいけません。離れて!」
今、子ども達は学校で、たくさんたくさんそう言われています。
子ども達は、本当はとてもつらいはずです。
なぜなら本来子どもは、「いろんなものに触れて」「声出して、表現して」「集まって、人と関わって」成長・発達する存在だからです。
それを「ダメ」と言われるのです。
不安もいっぱいでしょう。
エネルギーが貯まりません。
でも、大人もがんばっているのだから、我慢をしているのだから、僕達私達はもっとがんばらなきゃ、我慢しなきゃと、実年齢よりも少し上の年齢を生きているのではないでしょうか。
力の弱い存在は、自分でコントロールができないようなできごとに出会うと
自分に力がないから、自分がダメだからと自責の念を持ち、その場をしのごうとしてしまいます。
また、みんながこんな状況でもがんばり我慢をしているのに、それができない私、と劣等感を持ちます。
自責の念と劣等感を持ってしまう子どもは疎外感や孤独感がいっぱいです。
ひとりぼっちを感じています。
そんな子ども達との出会いが、この3年間でとても増えました。
Safety・Challenge・Hope
そんな傷つきのある子ども達と院内学級で関わるときに大切にしていることがあります。
それは
Safety・Challenge・Hope(S・C・H)です。
Safety(安全・安心)
入院をし、院内学級に初めて来てくれた子ども達が最初によくすることがあります。
それは、先に教室にいる子達をちょっと傷つけること。
他の子がやっているプリントをのぞきこみ「あ、その勉強もう学校で終わった」とか、他の子がやっている折り紙を「私、それ得意、貸して」と奪おうするとか…、
そうやって、アウェイ感たっぷりのその状況を変えようとするのです。
そんな子に私は…