親もストレス感じます(家族)


こころの元気+ 2010年10月号特集より


特集4
親もストレス感じます


親の願いごと
埼玉県/アイスココアさん


息子の部屋のドアの音や、階段を降りてくる音がすると、私はかまえる気持ちになります。
お試しで作業所へ通い始めた息子は、昨日は急に休みました。
今日は、お昼前に煙草の匂いをさせて起きてきて、冷蔵庫の扉をあちこち開けて確認していました。
急性期のことがまだ私のなかでトラウマになっていて、リラックスできません。

今日の息子の第一声は、「お昼代を六〇〇円ください」でした。
どうやら外出するようです。
この間に、私は健康観察をします。
悪化する前に、早めに対処するためです。
時には、美容院代・洋服代など急に言われることもあります。
遠慮しているのはよくわかります。
もし、「 ○○まで送って」「話し相手になって」
と突然言われても、できる範囲で対応しますが、息子の価値観と雰囲気は独特で、気持ちがかみ合わないので疲れます。

息子自身が一番苦しくて、悔しいと思いますが、母親も別のつらさがあります。
胎教・出産・育て方を、心のなかでときどきわび、そっと涙を流しています。
もし、私の願いごとが1つかなうのなら、息子の体力と気力がもどり、やりたいことができるように元気になってほしいです。
街の二か所の七夕飾りで、心を込めて短冊に願いを書きました。


家族のSSTが有効
東京都/加藤玲さん


「テレビが自分のことをいう」、
「監視カメラが仕掛けられた」、
「頭に機械がある」、
「FBIに狙われている。引っ越したい」…。
妄想におびえる子どもが、哀れと思いながらもイライラ。
理詰めで、
「あなたは有名人じゃないから、テレビが言うわけがない。監視カメラにお金をかけるわけがない」、
「FBIはそんなヒマじゃない」。

とうとう頭部の機械発見? のために、医師に、「むだですよ」と言われながら、「研究材料にしてください」とレントゲン、スキャン、MRI。
何もないとわかった帰り道、
「じゃ、治した歯に仕掛けられている。歯を抜く」と言うので、ひたすら「抜歯は痛い」を言い続けて防ぎました。

家族会でSST(社会生活技能訓練)を学ぶ会があり、
「妄想は否定も肯定もしない。その苦しさに同情する」と教えられる。
むずかしい …と思いながら、
「そうだったら怖いよね。でも大丈夫、絶対に守ってあげるから」と。
「引っ越ししたい」は本気で考えましたが、「病状が出ているときは、重大な決断をしない」と、これも家族会で教わりました。
「悪の帝国に親も取り込まれている」には絶句でしたが、「でも最後は、親は子どもを命がけで守るから心配しないで」と言いました。

寛解した後で、「親との信頼関係は崩れませんでした」と医師に話したとか。
ぜひご家族は、SSTを学んでほしいと思います。

SST:社会生活技能訓練。社会の中で,相手から自分の望むような反応(回答,理解など)をしてもらえるように、自分の行動や言動の方法を訓練すること。
必要な知識(どのような言動が望ましいかなどの情報)を与え,練習(行動リハーサルやロールプレイなどを通して実際にやってみる体験)できるように支援の順序とコツを定め,構造化した支援の方法。