あなたはそこに存在しているだけでいい(本人)


こころの元気+ 2011年4月号特集より


特集5
あなたは一人ではない

あなたはそこに存在しているだけでいい
石川県 ちえちえさん


私は、双極性障害の看護師です。去年の夏までは、うつ病と診断されていました。
子どもの夏休みで疲れたのでしょうか、OD(過量服薬)をくり返すようになり、また自傷行為にも及んでしまいました。
それまで通院していたクリニックの先生から、休養がてら一〇日から二週間ほど入院したらと提案され、大きな病院を紹介されました。
その病院で、双極性障害でラピッドサイクラーではないかと新しく診断され、薬も抗うつ剤からリチウム剤に変更となりました。
しかし自殺念慮はとれず、退院した後の不安は残っていました。

そうこうしているうちに、たまたまとった頭部MRI(核磁気共鳴画像法)で、今度は脳腫瘍が見つかりました。
そして手術をするかどうかで迷いました。
だって、私は死にたいと思っている。なのに、生きるためにわざわざ手術をするなんて!
私の心の中は、葛藤でいっぱいでした。
何日も何日も病床で考えました。
がんばって手術して、一日も早く子どもたちのためにも元気になろう、そう思えたらどんなにか楽でしょう。

結局、私はどうしたと思いますか?
受けたんです、手術。去年の一一月でした。
出血が多く心電図も乱れ、九時間もかかったらしいです。
でも手術直後にICU(集中治療室)で、家族に会ったことはちゃんと覚えています。
主人が泣いていました。
子どもたちがそばから離れませんでした。
両親が、「全部取れたよ」って報告してくれました。
友人からメールが来ました。
「みんな心配してるよ。応援してるよ。祈ってるよ」 …私を待っていてくれる人はこんなにもいる。
普段はわからないけれど、必要としてくれる人は、自分が思った以上に多いものだなあと思いました。
きっと皆さんもそうではないでしょうか。
術後順調に回復した私は、精神的にも安定しているということで退院のめどがつきました。そのとき子どもの世話や家事、仕事復帰などやっぱり不安になりました。

そんなとき、こんな言葉をもらいました。
「あなたは、そこに存在しているだけでいい」
現在は退院し、病気と日々向き合いつつ自宅療養中です。
皆さんも、まわりを見渡してみてください。
きっと、一人じゃないはずです。そして私も皆さんの仲間なのです。