失敗したとき立ち直るきっかけとなった本や映画(本人)


こころの元気+ 2013年1月号特集より


特集4
失敗したとき立ち直るきっかけとなった本や映画


まゆかんさん(茨城県)のおすすめ映画

『サイモン・バーチ』114分
発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン


統合失調症の当事者です。
病状が思わしくないのにクローズで塾講師のバイトをしていました。 案の定、忙しさと夜に働くという生活リズムの乱れからダウン。 
そのとき、自宅で観たのが映画『サイモン・バーチ』でした。

1998年のアメリカ映画で、私生児の少年と先天的な病で体の小さい少年との友情の物語です。 
病の少年は自分の体が小さいことを「神さまが僕に何かの使命を与えてくれたからだ」と信じ(作中では「スペシャル・プラン」とあります)、文字どおり映画後半で、その小さな体をいかして奇跡を起こします。
この少年のまっさらな前向きさに思わず涙が…。
しかも少年役は実際に存在する難病、モルキオ症候群(症状の1つとして体が小さい)の患者だというではありませんか。 
いろいろな意味で、「病気」と「前向き」をつないでくれたこの作品、糧になりました。


TAKさん(愛媛県)のおすすめ本

『置かれた場所で咲きなさい』
著:渡辺和子  幻冬舎


ここ数か月、姉も入院し、広い家に1人ぽつんと取り残されて「このまま1人ここで孤独死したらどうしようか」などとふと思い、若干落ちこみ気味でした。 
そんなとき、書店で、ふとこの本を手に取り読みました。
ベストセラーにもなっています。 
一度読んで深く感じ入るものがあり、再読しました。

修道女として、また若くして女子大の学長になられた渡辺さんのご苦労はいかばかりか、はかりしれないものがあると思います。 
人生いいときばかりは続かないし、悪いことばかりでもない…。
この町に住んで4年半、なんだかあっという間でした。
でもここで生きていくのだと改めて思います。
本書によれば、どんな苦労があっても、それを乗り越えられる方法や逃げる道は用意されているというのだから、この地に住むことになったのは巡り合わせだけれど、ここで自分の花を咲かせたいと思います。


はんぺん★さん(神奈川県)のおすすめ本

『弱くてもいいのよ。 Ms.Royceの言葉』
著:竹本聖 サンマーク出版


私はずっと、強い人になりたいと思っていました。
弱音や泣いたりすることはいけないことだと思っていました。 
しかし、それはとても苦しいことでした。 
そんなときに出会い、本当の強さと勇気のヒントを教えてもらった本です。

一つひとつのメッセージが簡潔だけれど秀しゅういつ逸。言葉のジュエリーのようでした。
本文を少し紹介します。
─他人からみてたとえ後ろ向きに歩いていたとしても私にとっては前向きなの。私の目はいつだって私の前についているんだもの。
──人生なんてプールといっしょ。もがくから苦しいのよ。力を抜けば浮いてくるのに。─
パワフルでやさしいメッセージに奮い立たされました。


灯路さん(埼玉県)のおすすめ本

『とっておきの気分転換』
著:廣瀬裕子、絵:杉浦さやか
幻冬舎 〈文庫〉

『筆談ホステス67の愛言葉─青森一の不良娘が銀座の夜にはぐくんだ魔法の話術』
著:斉藤里恵
光文社


私は以前、仕事の間違いを指摘されたことがきっかけで人間関係が悪くなり、落ちこんでしまったことがありました。 そんな気分を変えるきっかけになった本が2つあります。

1つ目の本は『とっておきの気分転換』です。 
日常でできるさまざまな気分転換の仕方が書いてあり(かわいいイラストにも癒されます)、読んでいて気分が晴れやかになるだけでなく、失敗をしたときの気持ちの切り替え方の参考になりました。 
特に、「くだらないことを言う人を無視する」という項目は、人に言われたことを受け止め過ぎる私にとって、とても役に立ちました。

2つ目の本は『筆談ホステス67の愛言葉』です。 
時にユーモアを交えながら、自分の解釈で、さまざまな立場の方を筆談で接客する里恵さんの言葉が、立ち直るきっかけになりました。 
特に、失敗も捉え方しだいでは悪くないと思えました。


菅原俊光さん(愛媛県)のおすすめ映画と本

『世界の中心で、愛をさけぶ』
作:片山恭一
小学館〈文庫〉


失敗をしてしまい、落ちこんでいるときに、『世界の中心で、愛をさけぶ』の本と映画、テレビを見ました。 
特に先に出た本の帯に書いてあった柴咲コウさんの「泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました」という言葉、それを見て本を10回読みました。
映画版の、空港で森山末来さんが「誰か助けてください」と叫ぶシーン。白血病の長澤まさみさんが意識を失うシーン。
あの場面は8年経った今でもおぼえています。 
映画では、大人になった主人公の朔太郎(森山さんから大沢たかおさんに)が、恋人律子(柴咲コウ)とオーストラリアのウルル(エアーズロック)に行き、赤い大地に亡くなった亜紀(長澤まさみ)の遺灰をまくところで終わります。
そして、平井堅の「瞳をとじて」が流れるのです。
この「セカチュー」の映画を見て、思わず涙しました。
そして、失敗していじけている私などたいしたことはないと思いました。


niesさん(福岡県)のおすすめ小冊子
『ひとことの力』
北九州市立精神保健福祉センター


私が住んでいる自治体には、自殺防止対策として、『ひとことの力』という小冊子があります。 
はげまされた言葉などを公募で集めたものです。 
そのなかで印象に残っている言葉があります。
「ジャマイカ人になろう」です。 
最初に読んだときは??? でしたが、よく読んでみると、
『苦しいときこそジャマイカ人になろう、「じゃあ、」「まぁ、」「いっか、」と口に出すと良いです』ということでした。 
がんばりすぎていた私、ささいな失敗をして少しへこんでいた私の心は、この言葉で少し勇気づけられました。