こころの元気+ 2012年11月号特集より
特集5
今日からできる親孝行
娘の居場所があること
石川県 あゆむさん
私が親孝行といえるかどうかわかりませんが、親の手助けになるように少しでもやっていることは、母親の家事の手伝いです。
私は、自分のリハビリや社会との接点とのなかで病院の作業療法と作業所に通っているのですが、それらが休みの日に、私がしておくと母が少しでも助かる家事を手助けしています。
それらは、床そうじ、父の弁当づくり、居間の掃除機かけ、洗濯物を取り込んでたたむこと、それと、私が楽しんでやっている夕食づくりです。
どうして、親孝行が必要か考えると、産まれてからずっと今まで育ててきてくれた両親に感謝し、恩返しする必要があると思うからです。
また、本人のできる範囲内でもいいので、家族の一員として何か役割があると、親というのは助かると思います。
私は作業療法や作業所へ行くのも親孝行の一つだと考えています。
夏の暑い時期は、家で寝転がって休みたいと思うときもありますが、通うことは自分のためでもありますし、親も娘の居場所があると安心してくれるので、なんとか前日に早めに寝ることを心がけて、体調を整えたりして、まわりの人へ感謝するためだと力を入れて通っています。
何より元気で暮らすこと
大阪府 秋桜さん
ふと気がつくと、私も六〇歳近くになり、母も八〇歳を過ぎてしまいました。
なんだか自分の親は元気だと思っていたのですが、最近は膝が痛いとかいうような言葉を聞き、これから自分に何ができるのだろうかと考えてしまいました。
私は発病して一〇年以上たち、ずいぶん親に心配をかけてきました。
先生のすすめで、病院の近くでひとり暮らしをして七年が経ち、なかなか母の様子も見に行けず気がかりです。
結局、何の親孝行もできない気がして、遠く離れている自分にいったい何ができるのだろうかと考えてしまいます。
母の近くには妹夫婦が住んで、気にかけてくれているのが私の救いです。
妹の主人は理解のある人で、母と同居することを考えてくれているようです。幸せなことだと思います。
今現在、私がなんとかできている親孝行といえば、年に一、二回、母と温泉に出かけていることです。
あまりあちこち歩き回れなくなった母は今、それを楽しみにしてくれています。
あと私ができることは、できるだけ再発を防ぎ、元気で暮らすことだと考えています。
毎日を生きること
埼玉県 灯路さん
うつ病で療養をしている三〇代の女性です。
働いたお金を自宅に入れることも親孝行の一つだと思いますが、うつ病になり一五年ほど経過した今は、障害年金などで何とか生活をしている状況で、金銭面ではなかなか親孝行ができません。
そのかわりといってはなんですが、自分の生活費は自分で管理できるように心がけています。
他には、買い物をする、洗濯物をたたむなどの家事等、日常的なことは、できる限り(体調に波があるので、無理しない程度に)手伝うようにしています。
今は、両親ともに健康ですが、身体が不自由になったら、介護をするのはもちろん、両親が日常できないことを手伝い、病気が回復したら働いて両親を支えていきたいと思っています。
金銭面や生活面で両親を支えることが、おもな親孝行だと思いますが、何よりも生きることが一番の親孝行だと思うのです。
うつ病がひどいときに、自殺未遂をしたことがあり、両親を心配させてしまったので、今は病気と向き合い、どんなにつらいときも、毎日を過ごしたいと思います。 今まで育ててくれて、病気になってもあたたかく見守ってくれたからこそ、親孝行が必要なのだと私は思っています。