こころの元気+2010年4月号特集より
特集1
私たちの婚活
婚活…うまくいきました―デイケアや作業所でも出会いが
埼玉県/市川左千子さん
彼のことは、以前から知っていました。友達の彼氏だったから。
しかし、友人と別れてから彼と会うことはありませんでした。
半年たって、彼が私の通う地域活動支援センターにやってきました。
以前の彼は、言動も姿も怖くて、近寄りがたい存在だったのですが、再会した彼は、やさしくまじめになっていました。
友人をつくりたがっていた彼と友人の多い私、私がバイパスとなっている間にだんだんと心が近づいていきました。
私のリストカットの癖を心配し、自分が守るといってくれました。
そのとき、私にはつきあってる人がいたのですが、彼の私を思う包容力に愛を感じてそれまでの人と別れ、つきあいだしました。
私には子どもがいるので、すぐに結婚とはなりませんが、いずれ籍を入れるつもりでいます。
精神障害を持つ人同士でも、幸せに毎日を過ごしています。デイケアや作業所でも出会いはあると思います。心がおだやかに話せる人がいれば、チャンスだと思います。
婚活…うまくいきました――婚活は自身の成長の術
大阪府/松下昇司さん
僕が妻と知り合ったのは、作業所でした。
病気を発症した当時は、彼女ができないことに異常なあせりを感じていて、恋人紹介のサークルの会員に登録していました。そこでは、何回も集団のお見合いをしても相手が見つからず、お金だけが出ていってしまったようなかたちです。
結婚のための活動ってそんなものでした。
作業所に通っていて、落ち着いた頃に彼女があらわれました。
僕の場合は婚活という言葉はなかったのですが、長い目でみると高校卒業後、彼女を見つけようと思ったところから今の妻と出会い、婚約までの二〇年余が婚活期間だったような気がします。
僕が思うには、「婚活」は自身の成長の術ではないでしょうか。そこまで意味合いを広く考えます。
彼女が見つかっても、けんかしたり失恋したりよりをもどしたりね。
関係ないように思えても遠回りして、いろんな自分を知り、向き合うところから始まるといってもよいと思います。
婚活…なかなかうまくいかないです――明確な意志がないからうまくいかない?
東京都/ゆきさん
私は、統合失調症が発病してから六年目の三五歳の女性です。
「婚活」は、五年前からしています。理由は親を安心させたいからです。
実は私自身、あまり結婚には前向きではありません。
それでも、いろいろと努力はしてみようと、お見合いパーティやインターネットのソーシャルネットサービスでの「婚活」をしています。
お見合いパーティは、五回参加しました。大人数でのパーティと少人数でのパーティです。
大人数だと、いろいろな人から話しかけられましたが、萎縮してしまい、結局一方的に連絡先をもらってそのまま連絡をしないままになっています。
少人数のときは、一対一で三分間ずつ話をして、その後、気に入った人を指名して一〇分間話しました。
話をしてみて、いい人だな、と思った人はいましたが、最後の指名で私を指名してもらえず、結局あきらめました。
ソーシャルネットサービスでは、二年ほど長くメールのやりとりをする人は何人かいますが、家が遠いのと、病気のことをうまくメールにできず、お会いしても、距離を置いてしまって、恋人にはなれません。
職場での出会いはありますが、仕事のことで頭がいっぱいでとてもおつきあいまでには至りません。
以上が私の「婚活」ですが、やはり自分に結婚したい、という明確な意思がないことが、結婚に結びつかない原因だと思っています。