お互いの距離をうまくとる(家族)


こころの元気+ 2013年9月号特集より


特集7
お互いの距離をうまくとる

この特集は、「お互いに巻きこまれてしまうような状況から、少しずつ距離がとれるようになった」という経験に、寄せていただいた家族の言葉です。


忙しさでかえって

東京都 加藤玲さん


最初から母親の自分が忙しい仕事を持っていたため、帰宅するともう寝ていることが多かった。そのため、親からうるさくすることは時間的に少なかった。
出張のときなどは心配だったが、必然的に距離がとれていた。 仕事は集中しないとできない種類のものだったので、子どものことから頭を離さざるを得ず、それが、結果的に自分のためになっていたのだろう。

寛解して医師から「親の対応がよかった」とほめられたが、「家にいたら高 EEの親になっていたでしょう。忙しくて家にいなかったので …」と答えたら笑っておられたが、ホントにこの通りだろうと自分でも思う。


時間をかけて変わっていきました

埼玉県 アイスココアさん


①息子が、9年前に初めての入院(4か月半)をしたこと。 それまで、通院のみで世の中から孤立していて苦しかったですが、安全地帯に入れたような安心感でした。 食事・服薬・睡眠のリズム、人と接するきっかけができ、回復のきざしが出てきました。 閉鎖病棟でしたので、冷たいコーラやおやつの差し入れをしたり、話し相手になったりして、母子の親密度が増しました。

②退院してデイケアへ通うようになって、仲間と悩みを聞いてくださるスタッフに出会え、家にいる時間と私への依存度が減りました。

③作曲家になるという本人の希望をかなえるため、高額な習いごとをいくつかしたことで、大学へ行けなかった恨みが、ある程度減りました。

④年かかって、本人なりに統合失調症という病気の本質がわかり受け入れるようになってきました。

⑤家事や仕事をしながらがんばっている私の姿(老化)を見て、助けてあげようという気になってきたようです。


グループホームで

東京都 ハイジさん


同居のときは息子の欠点ばかりが目についていましたが、グループホームに息子が入ってからは、ほどよい、心地よい距離がとれるようになりました。 月に1度は食事会と称して会い、年に1度は家族旅行に行くようにしています。その時間は親子にとって大切な時間となりました。

日頃は離れて暮らしているので、職員さんが息子の長所を教えてくれたときは「そんなことはない」と思わず、素直に「すごいな」と喜べる親でいたいです。
なかなかむずかしいのですが、長所がわかるのはほどよい距離がとれているからだとも思います。


自分が冷静に話すと息子も静かに話すように

兵庫県 伊東久雄さん


最初は彼(息子)に「どうする気だ!」と怒ったことがありましたが、病気について学ぶほどにそれを深く反省。
今は感情的に話すことをおさえて冷静に話すと、彼も静かに話すことが多くなりました。