こころの元気+ 2011年11月号特集より
特集
仲間が必要かも
訪問看護ステーションACT―J(精神保健福祉士)
樺島沙織
症状改善しないとき、「どうして自分だけこんな目に合うんだろう」と孤独感を感じたり、「早くどうにかしたいのに、いい方法がない」と焦燥感を感じたり、「この状態が続いたらこの先はどうなってしまうんだろう」と不安を感じる方は多くいらっしゃるかと思います。とてもつらい状況ですよね。
このようなときに、同じような思いでいる方や以前に同じような思いや体験をされていた方との出会いがあったらいかがでしょうか。
自分だけだと思っていたけれど、同じような体験や思いをしている人がいるんだなと、安心感や共感が生まれるかもしれません。
また、以前同じような体験や思いをしていた方のお話を聞き、自分もいつかはよくなっていくかもしれないと可能性が生まれることもあるかもしれません。
私が関わらせていただいている利用者さんのなかで、人の輪のなかに入っていくことや人とお話することにとても困難さを感じている方がいらっしゃいます。
自分の考えや浮かんでくる言葉が、相手に伝わってしまう不安があるため、人との関わりは困難だと思われているようです。
仮にAさんとします。
Aさんとお話ししているなかで、他にこんな体験をされてる方がいましたよとお伝えしたら、「よくわかります!同じような体験をしてる人がいたんだ」と、とても共感されました。
それから利用者さん同士の交流会があり、私がAさんをお誘いすると、「どうしよう、(言葉が)伝わったら、つらいしな」と迷われました。
そこで、「お伝えしていた、同じような体験をされている方もいらっしゃるみたいですよ」とお伝えすると、「じゃあ私も行こうかな」と決意されました。
「汚い言葉が浮かんで伝わったらどうしよう」と悩んで緊張されていらっしゃいましたが、いざ、参加してみると、積極的に他の方々とお話しする姿が見られて、あぁ、求めていらっしゃったんだなと心底感じました。
そして、同じような体験をしている 方もお話しされて、自身の体験や感じていることを、お互いに話し合われていました。
そのときにメールアドレスを交換されて、ときどきやりとりをされているようです。
病状の改善に、どの程度影響しているのかはっきりとはわかりませんが、Aさんを見ていると、自分だけではなく、同じような体験や思いをしている人がいるんだという安心感や共感を持ち、他の方が病状にどのように対処しているのかを知り、対処していくことに関心を持ち始めていらっしゃるようで、頼もしさを感じます。
仲間とのつながりができることで、新たな可能性が生まれるかもしれません。
そこから生まれるパワーはすごいなと、私自身も学ばせていただいております。