こころの元気+ 2011年12月号より
特集3
ハローワークでお待ちしております
ハローワーク墨田精神障害者雇用トータルサポーター
佐藤文昭
●ハローワークはこんな所
ハローワークとは「公共職業安定所」の愛称で、国が運営する職業紹介の行政機関です。
仕事を探している人に就職先を紹介したり、就職先だけではなく職業訓練の相談・受講斡旋も行っています。もちろん無料で利用することができます。
聞いたことはあるけれど、まだ行ったことはないという方も、多いかもしれません。
図書館のように散歩の途中にふらりと寄りたくなる、という場所ではないのかもしれませんが、就職のことを考えたときなど、まず始めに近くのハローワークに寄ってみるといいかもしれません。
いきなり仕事を紹介されても困る、という方でも大丈夫です。ゆっくり就職活動のやり方から聞いてみるというのもOKです。
自分にはどんな仕事ができるのか、希望する条件の仕事があるのかなど、仕事に関するいろいろな職業相談ができる場所が、ハローワークです。
特に、皆さんが心配されているような、病気や障害のハンディキャップがある場合にも、対応できる専門の窓口も用意されています。
●ぜひ専門援助の窓口へ
ハローワークでは、「専門援助」と呼ばれる部門にある場合が多いのですが(私も普段はこちらの部門で、精神に障害をお持ちの方の個別相談を担当しています)、就職の際に心配のある方は、まずはこちらを利用していただいて、病気や障害に関する必要な配慮や、皆さんが希望する条件などを伝えてもらうのがよいでしょう。
皆さんがそれぞれの事情を伝えられたうえで、仕事の紹介を受けることをおすすめします。
おすすめする理由の一つをあげるとすれば、一般の紹介窓口とは違って、専門援助の部門では「定着支援」という、就職後のアフターフォローのサービスが用意されているからです。
●就職はゴールではなくスタート
就職した時点で就活は終わり、ということにはなりますが、職業生活という視点でながめてみると、就職はゴールというよりも新たなスタート地点にすぎません。
一般的には、仕事はある程度長い間続けることを前提にしていますので、マラソンのように、よーいドンでスタートしたら、とりあえず走り続ける、ということになります。就職活動では、就職する「まで」だけに注意が向きがちですが、本番は就職して「から」です。
そこで、専門援助部門では仕事を続けるためのアフターフォローのサービスを提供していますし、また採用する企業の方からもアフターフォローへのニーズが年々高まってきています。
職場の人間関係で困ってしまった、症状が悪化した、どうしても苦手な業務があるなど、現場で生じる課題には深刻にならないうちに早めに対応するのが、働き続けるコツです。
ハローワークでは「チーム支援」と呼んでいますが、素早く適切に対応できるよう、職場を含めて、関係する支援機関同士が連携してフォローにあたるようにしています。
職場(現場)は日々、動いています。私の経験上、問題が起きてから準備していては、とてもフォローには間に合いません。現場で必要な配慮や対応などは、支援する側との事前の準備が肝心です。
就職後の定着支援がスムーズに受けられるよう、まずは専門援助の窓口で皆さんのご希望や心配されている点を遠慮なくお話しください。お仕事のことを考え始めた皆さん、ハローワークでお待ちしております。