コンピューターを使った認知機能リハビリテーション(医師)


こころの元気+ 2014年1月号特集より


特集11
コンピューターを使った認知機能リハビリテーション

帝京大学医学部精神科
池淵恵美


●どんなものか?

いろいろな精神障害では認知機能が低下していることが知られています。そのために日常生活に多くの支障が出ます。
具体的には、ものごとに集中できない(注意機能)、段取りよくものごとを進められない(実行機能)、やろうとしていたことを忘れてしまう(ワーキングメモリ)、前のことをうまく整理して思い出せない(エピソード記憶)、てきぱきと手早く進められない(処理速度)などがあります。
こうした認知機能は、残念ですが精神症状が改善しても障害が残ることが多く、薬物療法でも充分には改善しません。
それらの認知機能を、ゲームソフトを利用して、トレーナーと一緒に、一つひとつ向上するよう練習していくのが、認知機能リハビリテーションです。

 

●画期的なところは?

これまで充分効果が期待できなかった認知機能の改善をとおし、日常生活のステップアップをゴールにしているところです。

 

●どんな効果が期待できるか?

認知機能の改善とともに、ブリッジンググループというやり方で、日常生活に応用できることをめざします。
筋トレ(認知機能トレーニング)をして、スポーツの試合がうまくなる(日常生活)ようにしていきます。

 

●そうした関わりは精神科医療のあり方を変えるのか?

障害に目に見える形で取り組むことに役立つと思います。

 

●将来どこで利用できるか?

現在、皆さんに使っていただけるソフトを開発中です(2014年1月現在)。
そうなるとたくさんの医療機関や福祉施設で使っていただけると思います。

 

●個人でも自宅でできるか?

トレーナーと一緒に自分の力を見ながら少しずつステップアップしていくことや、得意な点を伸ばしたり、苦手なことをカバーしたりすることを一緒にやっていき、日常生活への応用も練習します。単にゲームをやるだけでは、認知機能は改善しないことがわかっています。

083 tk11 認知機能リハビリテーションソフト画面例