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第105回 消えてしまいたい(202号)
○「こころの元気+」2023年12月号より
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筆者:竹村真理(埼玉県)
▼「死にたい」と「消えてしまいたい」の違い
当事者の相談にのっているときや何気ない会話をしているときに、「死にたい」や「消えてしまいたい」という言葉を耳にする機会は少なくないと思います。
一見すると似た意味を持つ言葉ですが、当事者同士で話してみると違った意味を持つ言葉として使われている傾向を強く感じます。
▼「死にたい」思い
私はうつ病を発症した頃、何もできない自分に絶望して生きる気力も失くしていたため、「死にたい」と思っていました。
この状態のときは、周囲のことを考える余裕も、自己否定をする余裕もなく「どうしたら苦しまずにラクになれるか」を考えていました。
▼「消えてしまいたい」思い
病状が落ち着いて、デイケアや支援センターへ通所するようになると、「死にたい」と思うことは激減しました。
ところが人と関わるようになると、自分と周囲を比較して、できない自分を責めて落ちこむことが増えます。
周囲に目を向ける余裕はあるけど、自己否定しかできないときに「消えてしまいたい」と思うことが頻繁にありました。
私の場合は、遠い山奥に隠れて一人で過ごし、気持ちを落ち着かせたいといったニュアンスです。
これは一般的にいわれる現実逃避をしたい状態にとても似ていると思います。
▼孤独感からも
また家族や親しい友人に病状を理解してもらえなかったり、話を聞いて寄り添ってくれる人がいなかったりすると、強い孤独感に襲われます。
この強い孤独感から不安が強くなり「自分なんかいないほうがいいのではないか」という思いにつながり、「消えてしまいたい」と思うことも少なくないように思います。
▼人によって異なるかもしれないが
精神疾患を発症して生きづらさを感じやすい私達は、「死にたい」「消えてしまいたい」と思うことが日常的にあります。
特に自分で解決できない問題にぶつかったときは、私も「消えてしまいたい」と思うことが多いです。
人によって感じ方や意味合いは異なると思います。
しかし、数名の当事者の方から話を聞かせていただくと、私と似たような感覚を持っている方が、思ったよりも多いように感じました。