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第104回 申請主義(201号)
○「こころの元気+」2023年11月号より
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筆者:吉岡洋 (ピアサポートからつ)
▼申請主義とは
申請主義とは、就労継続支援事業所・障害年金・生活保護などの日本の福祉制度等を利用するとき、本人や家族からの自主的な申し出が必要なことです。
利用者が必要な制度を選んで、その利用を意志表明することになっています。
▼対象外だと思っていたら
私は若い頃、福祉制度が申請主義だとは知りませんでした。
ある日偶然、同い年で同じような状態の病院のデイケア仲間が障害年金を受けていることを知りました。
障害年金制度は知っていましたが、とても重い人でないともらえず、デイケアに通える人は軽すぎて対象外だと思っていたのでびっくり。
「もしかしたら、私も年金もらえるの?」
と病院のワーカーさんにたずねると、あっさり申請の手続きが始まりました。
▼昔も今も仲間は力に
デイケア仲間との何気ないおしゃべりがなければ、私の障害年金受給はもっと遅れていたでしょう。
これは25年も前のできごとなので、相談機関やインターネットの発達した現在には当てはまらないかもしれません。
ただし、仲間同士の支え合い(ピアサポート)が私達の力になることは、昔も今も変わらないと思います。
▼福祉制度を利用することがむずかしいのは
精神障害では、障害が重ければ重いほど本人も家族も周囲から孤立し、必要な情報を受けることがむずかしいといわれています。
私自身、ひきこもり経験者なのでよくわかります。
一方、役所が平日の日中しか開いていないとか、役所までの交通の便が悪いとかの困難もあります。
でも一番大きな困難は、福祉制度を利用するのをためらわせる、そんな社会の雰囲気ではないでしょうか。
「困ったときは、福祉制度の利用は当然だよね」とみんなが気軽に言い合える、そんな社会になればと思います。
▼あたたかい申請主義に
申請主義は、「どの福祉制度を利用するかを自分で考え、自分で選ぶ」というあたりまえのことであり、決して悪いわけではありません。
ただし「あなたは、こんな制度が利用できますよー」と知らせてくれるやさしさがほしいです。
ピアサポートで情報共有し、私達自身の手でやさしさあふれるあたかい申請主義社会を創っていきたいですね。
○「こころの元気+」2023年11月号より
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