特集1
「涙が止まらない」と検索する人達(190号)
著者:宇田川健(コンボ代表理事)
▼午前3時の困りごと
私はコンボの事務所では、技術系の仕事をしていて、ウェブのアクセス解析も担当しています。
ですので、毎日コンボのサイトは動いているか、アクセスはされているかとアクセス解析ツールを確認します。
ツールを開き、コンボのサイトが動いていて、アクセスがあると「あ、止まっていない」と安心します。
それと同時に、とてつもなく「悲しいな」と思います。
それは午前3時頃です。
午前3時前に起きてしまって、習慣になっているので、アクセス解析ツールを開くときもあります。
午前3時には数人〜10数人の人が、ほとんどスマホからサイトを訪問しています。
その中でも、ほとんどの人が、うつ、自殺、自傷、眠れないことに関係するページにアクセスしているのです。
「みんな今、すごくつらいんだな」と思います。
▼検索語句とウェブサイト
コンボに訪問する人の検索語句を過去にさかのぼって見てみると、その3分の1が「涙が止まらない」という語句に何かをつけ加えたものです。
『こころの元気+』はポジティブな情報が多いとよく言われます。
コンボのサイトの情報源の多くは『こころの元気+』の内容です。
しかしここ数年、コンボのサイトでのアクセスで一番多いページの検索語は、
「涙が止まらない うつ」
「仕事 なみだが止まらない」
「涙が止まらない 精神状態」でした。
一方で、
「うつ病 なおるきっかけ」
「うつ くらい部屋 落ち着く」
という検索で別のページにアクセスしている人も多くいました。
その検索語句でのアクセスが多いページは、
「うつ経験者108人のストーリー」というページのアンケート結果です。
このページの特徴は下の図1が表現しています。
見てみると、「毎日」「夜」「朝」などという単語が見られます。
▼図1:「うつ病108人のストーリー」の特徴
(文章の中から単語を選び出し、その出現頻度によって単語の大きさを変えながら並べ替えた図)
▼特集3のアンケートより
今回この特集で、アンケートを行いました。→特集3へ
その中でも問2「気がついたら涙が出ていて止まらなかった」と答えた人が、回答者全体の35%いました(56人/159人)。
また涙が止まらなくなった経験のある人達のうち、問3「その理由は?」という質問に、
「昔のことを思い出して」や
生きていることが嫌になって」など、理由のある涙もあるのですが、
「なぜ涙が止まらないのかわからなかった」という理由がわからない涙もあるということです。
▼「涙が止まらない」と検索する人達は常にいる
今回「涙が止まらない」と検索する人達の検索語句の特徴を図2で表現してみました。
▼図2:「涙が止まらない」と検索する人達の検索語句の特徴
(文章の中から単語を選び出し、その出現頻度によって単語の大きさを変えながら並べ替えた図)
▲(クリックorタップで大きくなります)
ここから推察されるのは、検索している人には体にも不調が出ていて、時と場所を選ばず勝手に涙が流れるようだということです。
検索し、精神の調子の悪さを確認する作業をしているのだと思います。
そんな精神の病の入り口や手前の皆さんが涙について検索し、コンボのホームページにたどり着いているようです。
涙は助けを求めているサインだと思います。
「必要なとき、必要なサポートや相談に結びつけばいいなぁ」と、深夜、午前3時にひとり思うのでした。