『当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド』を読んで、3つのチャレンジ!(186号)


特集内のコラム
『当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド』を読んで、3つのチャレンジ

※「こころの元気+」2022年8月号より
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コンボから出版した新刊『当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド』を本誌の読者の方に読んでいただき、次の3つのことにチャレンジして文章を寄せてもらいました。

・チャレンジ1:おすすめの治療とおすすめしない治療をチェックしてみる
・チャレンジ2:うつ病の重さ(重症度)をチェックしてみる
・チャレンジ3:担当医に渡してみる


チャレンジ1:おすすめの治療とおすすめしない治療をチェックしてみた

●著者:さん(埼玉県)より

私は抗うつ薬の服薬と、本書にある「おすすめしない治療」のベンゾジアゼピン系の服薬もしています。
なぜなら不眠や下痢など、身体に不調の出やすい症状だからです。
しかし根本的な効果があったと感じているのは、支持的精神療法(※)と心理教育です。
副作用もなく本書でも「おすすめの治療」なのがわかります。
薬は合うものが見つかるまでたいへんでしたが、支持的精神療法によって身についた対処法はいつでも使えるのが利点です。

支持的精神療法:当事者の訴えに、医療者は耳を傾け、苦悩には共感を示し、ともに問題点の整理を行うこと)

 

●著者:平原美栄さん(神奈川県)より

まずは、医師と一緒に治療方針を計画することが、一番大事だと思います。
その過程で、医師との信頼関係ができるのではないでしょうか。
最初から、信頼できそうもないと思う医師は、避けるべきだと私は思います。
精神的な治療はあくまで手作り、医師との関係性が良好なときに生み出されます。
この本を読んでわかったことですが、「まずは薬」ではなく、医師の「支持的精神療法」と「心理教育」が基礎的介入としてあげられています。


▼チャレンジ1:おすすめの治療とおすすめしない治療をチェックしてみた
▼チャレンジ2:うつ病の重さ(重症度)をチェックしてみた

●著者:エトさん(三重県)より

『うつ病治療ガイド』には「うつ病と診断されたら、まずは支持的精神療法や心理教育といった基礎的介入を行う」と書かれていますが、私の受けた治療は「まずは薬」だったように思います。
私は今は双極性障害Ⅰ型と診断されていますが、発症時はうつ病と診断されました。
三環系抗うつ薬を処方され、躁転してしまいました。

この本の中の「簡易抑うつ症状尺度」をチェックしてみると、今の私は中等度のうつ症状でした。
とはいえ双極性障害なのでうつ病の治療とは異なりますが、書かれているおすすめしない治療を受けたことはありません。


▼チャレンジ2:うつ病の重さ(重症度)をチェックしてみた

●著者:中井英津子さん(断酒会家族会員)より

抑うつ状態になると、自分自身の状態を把握することがむずかしいときがありますが、
こうした客観的な指標(簡易抑うつ症状尺度)があると、今の状態を客観的に理解することが容易になり、
自分でスケジュールを見直し休息を増やすなどの対応をしたり、
主治医や支援者に現状を伝え適切な対応をしてもらえるなど、よい効果が期待できると思います。


▼チャレンジ3:担当医に渡してみた

●著者:宇田川健さん(コンボ)より

薬の調整をしたくて『当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド』を持って診察室に入り、主治医に渡しました。

「先生はガイドラインって抵抗感ってあります? この本(12ページ)に共同意思決定、SDMってあるのですけれど、どう思いますか」
と手渡し、読んでもらいました。
「12ページ? ああ、とても大切なことだと思います」と主治医。
「で、35ページにこれこれとあるのですが、その辺りのことを今日は話したいんです」と切り出すと「35ページ? どれどれ。ああ、今のあなたの処方はねぇ」と、ガイドを通してSDM(共同意思決定)が始まりました。

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