こんなときどうする? 私の打ち手(184号)
新連載です!
今月号から、さまざまな精神疾患とつきあいながら自分らしく生きる方々に、症状や問題などを解決したり楽にするために自分が行っている「打ち手」を教えてもらいます。
第1回
○働けなくなったときの工夫
○病気と主体的につき合うコツ
著者:TAKさん(愛媛県)
▽自己紹介
50代で四国の中山間地域で林業と執筆をしています。
病歴は25年あまりの統合失調症当事者です。
▽働けなくなったときの工夫
40代前半まで上場会社で会社員をしていました。
30歳を過ぎて発症し、ずっと病をかかえながら、時々入院したり、入院はしないまでも家で静養したりして会社員を何とか続けていました。
幻聴がひどくなって、行動もおかしくなって仕事どころではなかったときは薬の副作用で眠たかったし、治療の本などでも「ゆっくり休むとよい」と書いてあったので、薬をのんでひたすら家で眠りました。
起きているときは、外に出られるようなら、近所を散歩したりもしました。
あとは読書が好きなので、読みやすい小説を読みました(吉川英治さんの『新書太閤記』などを、このとき読みました)。
難解な社会科学のテキストや心理学(精神病の自覚ができてきたので、病気のことを知りたくて)は避けました。
だんだん薬にも慣れて、活動できるようになると復職しました。
しかし幻聴がひどいのと、薬の副作用で体を押さえつけられるような感じがして、会社にいるだけでかなり疲労がたまりました。
病状がひどくなって自分から飛びこむように病院に入って、気づいたら大学病院の閉鎖病棟のベッドの上だったこともあります。
入院していたときは、親から、
「体がなまるから廊下を歩け」と言われていたので、暇なときは廊下を歩き回っていました。
女性の患者さんも比較的元気な人は歩いていました。
入院時にせよ、家で静養するにせよ、とりあえずよく眠って回復するのを待つというのがよかったと思います。
ましになって、ウォーキングをくり返し、体力も戻って、また復職です。
それから数年は仕事も何とかやれました。
そのくり返しでした。
▽病気と主体的につきあうコツ
会社を辞めて、しばらく経って薬もやめて体は軽くなったのですが、問題行動を起こして結局入院させられました。
それから退院して元気になったのですが、数年後また入院しました。
結局、薬を減らしたり、断薬すると再発します。
病気と主体的につきあっていくコツについて書きますと、
幻聴は今でも時々聞こえますが、正しいと思うことには素直に従い、間違っていると思う・受け入れられないと思うことは拒否します。
普段はもうほとんど幻聴もないんですが、時々1人でブツブツ言っています。
やはり幻聴とやりとりしているんです。
でも、会社員をやっていたときほどひどくはありません。
あの頃は、周囲の同僚や上司が、ボソボソなんかつぶやいているように見えて仕方ありませんでした。
今は、そんなことはありません。
もっとも今住んでいるところは過疎の限界集落なので、そんなに他人に会うこともなく、自然の中でゆったり過ごせます。
病状は会社員時代よりも軽くはなっていますが、病気とのつきあい方に慣れてきたのが大きいです。
状態がひどいときはじっとして、家にいるなら布団の中に入ってゆっくり休みますし、外出しているならその場所でしばらくじっとしているかです。
車の運転をしているときは、なぜかほとんど幻聴を意識することはないので助かっています。
今まで、精神科医の先生の書いた本を読んだり、主治医に言われたことから対処法を身につけて、だいぶましになってきました。
ただ断薬はやはり怖いと思います。
どうなるかわかりません。これだけは気をつけねばと思っています。