書籍「当事者・家族のための わかりやすいうつ病治療ガイド」 の第2章 うつ病の診断より
〇ネット特集に戻る
うつ状態とうつ病は同じでない場合がある
それでは、「当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド」の具体的な話に入っていきましょう。
まずうつ病の治療ガイドと聞くと、
「うつ病には、どのような治療がおすすめなの?」
ということが気になるかもしれません。
しかし、まず治療の前に「診断が本当にうつ病なのか」
ということをしっかりと主治医などの医療者とともに見きわめていただきたいと思います。
うつ状態とうつ病は同じでない場合があり、いわゆる気分が落ち込み意欲が出ない「うつ状態」だからといって、必ずしもうつ病であるとは限りません。
「うつ状態」というのは体の病気やさまざまな薬・物質で引き起こされる可能性があります。
また、うつ病以外のさまざまな精神疾患でも、もちろんうつ状態となりえるのです。
ここがなぜ重要かといいますと、うつ病ではない「うつ状態」は、治療においてうつ病と全然異なる場合があるからなのです。
当事者の方々には少し専門的すぎる内容かもしれませんが、
下記の表1のようなことを医療者が問診や診察、検査を通して判断し、
うつ状態の原因をわかりやすく説明してくれているか、ということに着目していただくことが大切です。
もちろん医師向けの「うつ病治療ガイドライン」の中では、
「第1章 うつ病治療計画の策定」と題し、
治療を行う前にまず気をつけなければならない内容を強調し、ガイドライン普及講習の中でも重視していますので、安心して医療者にたずねていただければと思います。