特集1 お金に関する制度の紹介(180号)


特集1 お金に関する制度の紹介(180号)
※「こころの元気+」2022年2月号より
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著者:坂本祐子
社会福祉法人サンワーク南八幡メンタルサポートセンター 施設長・精神保健福祉士)

 

読者の皆様、はじめまして。
ソーシャルワーカーの坂本です。
これからお金に関する制度をご紹介します。

お金のまわりで起きることやお金の情報を得ることは、心の安心、安定をはかるうえでとても大切な要素です。
使える制度を有効に適切に活用していきましょう。

 

▼公的で代表的な制度

障害年金・障害手当金 くわしくは →コチラ

すでに受給している方もいらっしゃると思います。
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」や「障害厚生年金」があり、基本的に、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに加入していた年金により、いずれかの年金を請求できます。

なお、障害厚生年金に該当する症状よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
日本年金機構ホームページより)。

 

年金生活者支援給付金 くわしくは →コチラ

また「年金生活者支援給付金制度」をごぞんじでしょうか?

消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額や所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。
障害基礎年金の受給者も対象になります。
〔年金生活者支援給付金の専用ダイヤルは:0570-05-4092(ナビダイヤル)

これらの障害年金、手当金、支援給付金を受け取るには、細かな受給要件があります。
年金の納付状況や初診日、障害認定日などがそれにあたります。
受給要件を満たしているか確認する際は、
お近くの年金事務所に相談するのがよいでしょう。(年金事務所等検索は  →コチラ

 

自立支援医療 くわしくは →コチラ
こちらもすでにおなじみの制度です。
精神疾患による通院にかかる医療費(保険診療でかかる診療費・薬代等)について、原則として全体の一割負担で受診できる制度です。
一割負担が原則ですが、世帯ごとの所得(市町村民税の課税状況)等に応じ、月ごとの負担上限額が設けられる場合があります。
医療機関、薬局だけでなく訪問看護にも適用されます。

窓口は各市町村の担当課となります。
(市町村によって、担当する課の名称は異なりますが障害福祉課、保健福祉課が担当する場合が多いようです。厚労省HPより) 

 

生活保護 くわしくは →コチラ
生活保護は、最低生活の保障と自立の助長をはかることを目的として、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行う制度です。
必要な生活費は、年齢、世帯の人数等により定められており(最低生活費)、最低生活費以下の収入の場合に受給できます
厚労省ホームページより)。

各市町村の福祉事務所が申請の窓口となります。
福祉事務所一覧[.xlsx形式]

 

特別障害者手当 くわしくは →コチラ
身体、または精神の重い障害によって常に日常生活で介護などが必要な方を対象に、国から支給される手当です。
対象は、20歳以上の在宅で生活する人です。
受給対象となる重度の状態にあてはまるかどうか、事前に主治医や市町村の担当窓口に相談するとよいと思います。

 

精神障害者保健福祉手帳 くわしくは →コチラ
一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進をはかるため、手帳を持っている方々には、さまざまな支援策が講じられています(厚労省ホームページより)。
窓口は各市町村の担当課となります。
受けられるサービスの情報は →「障害者手帳で行こう」

 

▼税金に関すること

○所得税・住民税の障害者控除 くわしくは →コチラ
働いている本人、または同じ家計で生活している配偶者や扶養親族に障害がある場合に受けることができる税制上の制度です。
自分で確定申告(かくていしんこく)する場合は税務署、会社員等は勤務先での手続きとなります。
確定申告の疑問は →チャットボットへ

○その他の控除 くわしくは →コチラ
他にも、障害者本人が受けられる控除(税金が一定金額差し引かれること)非課税(税金がかからないこと)の制度があります。
「相続税の控除」
「贈与税の非課税」
「心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税」
「少額貯蓄の非課税」等です。

対象となる「障害者」に該当するか、非課税となる金額や預貯金等の種類などは細かく複雑です。
管轄の税務署にご相談してみてください。
税務署検索は  →コチラ

 

▼公共料金・交通機関等

○NHK放送受信料の減免 くわしくは →コチラ
障害の状態、世帯収入によって、全額免除や半額免除となります。
免除の適応を受ける場合は、「NHKふれあいセンター」にお問い合わせください(電話:0570-077-077)。

NTTふれあい案内 くわしくは →コチラ
ネットで調べる方は使用する機会は少ないと思いますが、障害者手帳を持つ方は、NTTの電話番号案内を無料で利用できます。
利用するには事前登録が必要です。
「ふれあい案内事務局電話:0120-104174」までお問い合わせください。

携帯電話(スマホ)の割引
大手キャリア3社は障害者手帳を持つ方を対象に基本料金等の割引を実施しています。
NTTドコモは「ハーティ割引
auは「スマイルハート割引」
ソフトバンクは「ハートフレンド割引」
と呼ばれています。

最近よく聞く格安スマホの会社では実施していないところが多いようです。
会社によっては、基本料金以外にもWi-Fi、プロバイダ料金の割引もあるようですし、いろいろ変わっていくと思いますので、くわしくは各会社や店舗にておたずねください。

 

▼レジャー、娯楽に関すること

○公共交通機関
身体障害者手帳、療育手帳を持っていると、JRの運賃、高速道路の料金は割引になりますが、精神障害者保健福祉手帳は対象になりません。精神障害者保健福祉手帳で割引の対象となるのは、自治体が運営している公営交通機関等です。

また飛行機では、JAL、ANAはご本人と同乗者1人まで割引運賃となります。
JAL →コチラ
ANA →コチラ

タクシー、高速バスは会社によって異なります。
それぞれの運営会社にご確認ください。
地域の交通機関の情報は →「障害者手帳で行こう」

 

その他
障害者手帳を提示すると、映画が千円で観られることはごぞんじの方が多いと思います。
なお同行者1人までは千円で観られますが、劇場によって同行者の上限人数に違いがあるようです。
映画館の割引情報は →「障害者手帳で行こう」

また、東京ディズニーランド、ディズニーシー、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)も障害者手帳の提示で、本人と同行者の割引が受けられます。
東京ディズニーランド、ディズニーシー →コチラ
USJ→コチラ

身近なところではカラオケのビックエコーやラウンドワン。
ラウンドワンではボウリングやスポッチャも割引で利用できるようです。
ビックエコー →コチラ
ラウンドワン →コチラ

その他にも都道府県、市町村が運営する宿泊施設や公民館、スポーツ施設。
美術館や博物館にも障害者手帳での割引等を適用しているところは多いですね。
公共施設等の割引情報は →「障害者手帳で行こう」

 

▼自治体によって、変わるもの

私が働いている千葉県の市川市では、障害福祉サービス事業所に通所する際の交通費の3分の1が市より助成されます。
また、月の上限額は決まっていますが、入院時には「精神障がい者入院医療費助成制度」があり、保険診療の自己負担金、入院時食事代標準負担額がそれぞれ2分の1助成されます。
このように自治体独自の制度もあるので、お住まいの市町村にいろいろ質問してみるのはいかがでしょうか?
(自分の住む区役所や市役所などのホームページを見たり、電話などで問い合わせてみてください)

ちなみに千葉県の市川市では担当課が『市川市障がい福祉ハンドブック』を作成していて、制度から障害福祉サービス事業所の一覧まで掲載しています。

 

最後に…
お金に関わる制度についてご紹介しましたが「○○にお問合せください」やら「□□にご相談ください」ばかりになってしまいました。
各種制度はとてもよくできていますが、少しずつ古かったり、使いにくかったりもします。

しかも、ほとんどの制度は申請主義(自分から申し出ないといけない)で、わざわざお知らせをしてくれることはありません
また私達ソーシャルワーカーも、残念ながらすべてのサービスをくわしく知っているわけではありません(くわしい優秀な方もたくさんいますが)。
だから、皆さんとお話をして、希望や不便さを聞くことで、共に学び、調べながら、ベストな方法を探していきます。
制度を知ることと同時に「誰に聞くと正しい情報が得られるのか」を増やしていくことも、地域で安心して暮らしていくための近道かもしれません。

 

▼その他のお金に関する制度
それぞれいろいろな条件等がありますが、他の制度も含め、一度調べてみてください。(コンボ編集部)

医療費が高額になった場合
高額療養費制度 →コチラ

介護と医療費が高額になった場合
高額医療・高額介護合算療養費制度 →コチラ

給付金をもらいながら職業訓練を受ける
職業訓練受講給付金 →コチラ

(2022年の3月末までの特例もできたそうです →コチラ


ひとり親世帯で子どもがいる場合
児童扶養手当 →コチラ

また2022年2月現在、新型コロナのため緊急でいろいろな制度が行われています。
(終わってしまう制度もありますが、新たにできる制度もありますので、いろいろと調べてみてください)

○緊急小口資金・総合支援資金(貸付)
○住居確保給付金
○生活困窮者自立支援金
これらは、生活支援特設ホームページ→コチラ

低所得の世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金  →コチラ

 

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