特集2 ちょっとした変化の踏み出し方(179号)


特集2 ちょっとした変化の踏み出し方(179号)
※「こころの元気+」2022年1月号より
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著者:神人 蘭(じんにんらん)
(広島大学大学院 精神神経医科学 助教)

 

「変えてみる」と言葉で言うのは簡単ですが、変化に適応するために苦痛を伴ったり、努力が必要になることがあります。
それゆえ、
「明日からでいいや」
「変えたところで何か意味があるのかな?」
「ちゃんとできるだろうか?」
など、変化することに不安や自信のなさが生じてしまったり、先延ばしにしてしまうことがあるかもしれません。

「変えてみる」ときには、ちょっとしたコツをつかむと取り組みやすくなりますので、ここではそのコツを少しお伝えできればと思います。

▼じょうずな目標の立て方

「変えてみる」ためには、どう変えるのか?
その方向性を示してくれるのが目標や価値(どうなりたいか、何を大事にしたいかのイメージ)です。
この目標の立て方が、実は、けっこう大事だったりします。

じょうずな目標の立て方には2つのポイントがあります。
①具体的であること
②目標は、自分でも周囲から見ても、達成できたかわかるものにすること
です。

新年になると、
「今年の目標は?」とよく耳にします。
「いい年にする」
「後悔のない1年にする」
などの目標だと少し漠然としすぎていて、何に向けてどう変えたらいいかわからなくなります。

たとえば、
「今年中に資格取得する」
であれば、より具体的になります。
「週2回夕食後に1時間、資格の勉強をする」
であれば、挑戦しやすくなり達成しやすくなります。
また変化も、自分でも他人からもわかります。

▼計画はスモールステップで

次に、目標に向かって具体的な変化に向けた作戦を計画しますが、計画の立て方にもポイントがあります。
それは、細分化(スモールステップ)して計画することです。

目標が今の状況と大きく離れていたら、どうでしょうか?
圧倒されてしまいますよね。

たとえば、現状で外出がほとんどできない状態の場合、
「京都に旅行に行きたい」
という目標を立てたとすると、目標を達成するにはかなりの労力が必要になるかなと思います。

目標が大きすぎると人は圧倒されてしまい、挑戦することがむずかしくなります。
こういった場合は、
「京都に旅行に行く」
という目標に向かって、スモールステップ、段階的に目標に近づけるようにしていくことが大切です。

具体的には
ちょっとがんばればできそうな段階(できる自信が70%以上くらいがめやす)を積み重ねていくというのがいいかもしれません。

たとえば、京都に旅行に行くために、
「旅行本を買いに本屋に行く」
「ネットで京都までの行き方を調べる」
など、目標に近づけるように具体的な行動計画を細分化して、さらに具体化していきます。

障害物を乗り越えて、実験的な態度で試してみる

何かを変えるというのは、少なからず行動に移す前には不安が伴うものです。
変えた結果が自分にとって望む結果なのかどうか、
変えたところで意味があるのか等、
何かを変化させようとするときには、それをじゃまする障害物があるのですが、障害物には現実的な障害物と心の中の障害物があります。

現実的な障害物は、
たとえば、
時間がない、
お金がない
などの現実の問題です。
これはもう少し計画を細分化したり、やり方を工夫することで対処可能な場合が多いです。

一方、心の中の障害物というのは、
たとえば、
「こんなことやって何になる」
「どうせ何も変わらないだろう」
などの自分の頭の中に出てくる考えです。
これがけっこうしつこくて、行動に移す前のモチベーションを下げてしまう原因となって、なかなか厄介です。

ここで大事なのが、実験的な態度で望むことです。

今から変えようとすることが、本当に自分にとって有用かどうかなんて、誰にもわかりません
わかっているのなら、とうの昔にやっているのでは、なんて思います。
結果はいくら予想しても誰もわからないものですし、だからこそ、理科の実験のようにまず試して、結果がどうなるか観察することが大事です。

「変えてみる」ときのちょっとしたコツについてまとめてみました。
読者の皆さんの参考になれば幸いです。

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