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第80回
SSTの和語の変更
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著者:後藤雅博
(一般社団法人SST普及協会 理事)
生活技能訓練から社会生活スキルトレーニングへ
このたび、一般社団法人SST普及協会は、SST (Social Skills Training)の和語を「社会生活スキルトレーニング」と変更することに決定しました。
そのお知らせと、今後この和語の使用と周知をお願いしたく、ここでお伝えします。
SSTの和語としては、「生活技能訓練」という用語が広く用いられており、1994年以来の診療報酬の算定にも「入院生活技能訓練」が使用されています。
当協会は、SSTの普及と発展に取り組んでいますが、このたび協会内での議論や当事者の意見を取り入れて和語の変更にふみ切りました。
変更の理由
変更のおもな理由は2つあります。
1つは「生活技能」という言葉の範囲が広いため、SSTの日本への導入当初、整容(身だしなみを整えること)など、ADL(日常生活動作)までSSTの対象とされていました。
それゆえ当協会では、研修会などで「社会生活技能」という言葉の使用をすすめてきました。
ソーシャルスキルとは、
「私達の感情や要求を正確に人に伝えるうえで助けになり、対人的な目的を達成することを可能にするすべての行動」
と定義されており、認知機能も含めた対人的コミュニケーションの受信、処理、送信のスキルを指します。そのため今回、より原語に近い「社会生活スキル」を採用しています。
変更のもう1つの理由は、「訓練」という言葉の一種強制的、指導的意味合いの払拭(ふっしょく)です。
「技能訓練」というとスキルの向上だけをめざすイメージですが、本来の目的は日常生活の質を高め、より健康的な生活を営むことです。
また近年では、医療から、教育、司法・矯正、市民生活の領域へと広がり、内容も生活上の問題解決、疾患の自己管理などへ拡大しています。
現在当協会では、これらSSTの発展に合わせてEmpowered SST(e‐SST)を提案しています。
「e‐SST」は、自ら学ぶことを基本に、スキルを学びたい人と、それを支援する人は横並びの関係で、その共同創造の場で当事者が自ら問題解決に取り組む学習方法のことで、「訓練」とは少し違うイメージです。
そのため「トレーニング」という言葉を採用しました。
ご理解とご賛同を
以上のとおり今回の和語の変更は、SSTがより時代に合ったものとして発展、普及することをめざしており、SSTを通して、当事者やご家族の皆様方がリカバリーの道を歩んでいくことを心より願っています。