特集5内 担当医の知りたいことアンケート


▼特集5「精神科医は診察で何を知りたいと思っているのか」の文中に掲載

「担当医の知りたいことアンケート」
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コンボでは2021年8月号の特集で精神科医にアンケートを行いました。
回答してくださったのは7人の精神科医の方々です。
アンケートにご協力いただいた皆様に心より感謝いたします。

◆アンケートについて◆ 
〇アンケート実施期間: 2021年5月のネット調査
〇有効回答者数:7人
〇対象:精神科医

問1:医療機関の形態や規模は?

 項目 人数 割合
 クリニック(入院施設なし) 3人 43%
 精神科と他科のある病院病床数100床以上) 3人 43%
 クリニック(入院施設あり) 1人 14%
 精神科の単科病院 0人 0%
 有効回答数 7人 100%

 

問2:診察にかかる平均時間は?(初診を除く)

項目 人数 割合
5~10分 5人 71%
10分以上 2人 29%
3~5分 0人 0%
1~3分 0人 0%
1分未満 0人 0%
有効回答数 7人 100%

 

問3:どの患者さんにも必ず、あるいはよく聞く質問は下記のなかにありますか?(初診を除く)
近いと思うものをすべて選んでください。

 項目 人数 割合
 どうですか? 最近どうですか? 7人 100%
 何か気になることはありますか? 6人 86%
 困っていることはありますか? 5人 71%
 眠れていますか? 睡眠時間はどれくらい? 4人 57%
 食事はとれていますか? 4人 57%
 薬はのめていますか? 薬は残っていますか? 3人 43%
 質問は特にない 0人 0%
 回答者数(複数回答) 7人 100%

 

問4:上記の他に、必ず、あるいはよく聞く質問がありましたら教えてください。
また、その質問からどのようなことを知りたい、把握しておきたいと思っていますか?
〔自由記述〕

質問:何か伝え忘れたことはありますか?
知りたいこと:症状だけではなく当事者自身が医師に伝えたいことを把握し、一緒に解決したい。

質問:薬の副作用はないか、薬に対する要望
知りたいこと:順調に生活ができているか、今日の外来で相談したいことが何かを知りたい。

質問:何かいいことはありましたか?
知りたいこと:生活状況の全体像を把握したい。
困りごとだけでなく、うまくいっている部分も知っておきたい。

質問:最近よかったことはありましたか?
知りたいこと:元気に生活できているかを知りたい。

質問:他に話しておきたいことはないですか?
知りたいこと:診療のどういった点に満足しているのか、不満を感じているのかを知りたい。
自分がここから何をしたらよいのか、何をしてはいけないのか、がわかるので。

質問:「前回〇〇とおっしゃってましたが、その後どうなりましたか?」とストーリーとしてつながるように聞きます。
それ以外では「仕事の調子はどうですか?」
「前回の処方の変更はいかがでしたか? 処方を変えて困ったことはありませんでしたか?」は必ず聞きます。
知りたいこと:その方の今の人生の困りごとで医師に話したいことを聞くようにしています。

質問:好きなテレビ番組は変わらずみてますか?
趣味・好きなことは続けていますか?
知りたいこと:テレビは一番身近な娯楽で、外に出かけられない人でもできる娯楽なので、それによって精神的な活動性(興味、関心など)の状態を把握します。
趣味があれば聞きます。そのうえで困りごとがあれば相談にのります。

 

問5:患者さんに、診察のときに、ぜひ伝えてほしいことは何ですか?
それはなぜでしょうか? 〔
自由記述〕

伝えて:自分自身が治療を経てどのようになりたいかという具体的な目標について。
理由:その目標を明確化し共有しておくと、治療上の行き違いが少なくなると感じるので。

伝えて:薬ののみ心地
理由:薬について減らしてのんでいたり、のむのが嫌だったりすることをちゃんと話してほしいから

伝えて:困ったときはどんな状況だったのか、どんな対処をしたのか、それはうまくいったのか。うれしかったことや楽しかったことがあれば、教えてほしい。
理由:一緒に考えながら困難を乗り越えていきたいと思っているから。幸せに感じたことを一緒に喜びたいから。

伝えて:一番関心があること。
理由:患者さんの心の中を知りたいため

伝えて:患者さん本人が、伝えたいと思っていることを伝えてほしい。
理由:患者さんの希望にかなった医療をしたいから。

伝えて:診察や診断に対する不安、薬に対する不満、不安。できれば、今感じている不調感
理由:薬や診断に対する不満や不安を押し殺していると、それがコミュニケーションのずれにつながり、治療を途絶えさせるので、それはお互いにとって残念なことだから

 

問6:限られた時間のなかで先生の知りたいことをどのように引き出すのか、何か工夫やこころがけていることはありますか? 〔自由記述〕

・定型の質問をすることを続けること。
特に「他に話しておきたいことはないですか?」という質問は毎回言うようにしている。

・関心を寄せていると言うことをきちんと態度で示すこと。
(ちゃんと目を見て話を聞く。相槌や反応を返すこと。)

・なるべく緊張せず話せるように、診察の最初はウォーミングアップのために雑談を入れたりする。

・患者さんの努力をねぎらったりするなど、話されたことを肯定するように心がけている。

・あえて「私には話しにくいのかもしれませんが」と言ったり、
「困ったことをまとまらなくてもいいので書いてきてください」と伝え、なるべく本音を引き出したいと考えています。

・好きなテレビ番組、スポーツ、動物、趣味などを把握しておき、最近はそれがどのようになっているかを尋ねるようにします。
それによって、状態を把握する睡眠食欲排便だけを聞く単調なドリフ診察でおわらず、ささやかでも生きている楽しみ・喜びが感じられるような診察になるといいなと願っております。

・当院では患者さんに事前に「聞きたいことメモ」を書いていただくので、それは必ず診察の中で触れるようにします。
それはとても好評で、私もその方が話したいことを苦労なく拾えるので助かっています。

・表情や相づちで、相手が気持ちよく話ができる雰囲気作り。
会話の途中で話を整理してみる。
ノートやメモに書いてきてもらう。など

 

【ご回答いただいた先生】※敬称略 五十音順
池淵恵美(帝京大学医学部精神神経科学講座)/
内田有彦(西川病院)/
佐竹直子(国立精神・神経医療研究センター病院)/
鈴木伸(ことぶき共同診療所)/
坪井貴嗣(杏林大学医学部精神神経科学教室)/
宮崎和紀(つばさクリニック)/
渡邉真里子(ちはやACTクリニック)

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