親離れ・子離れ(本人)


「こころの元気+」2011年6月号特集2より


特集2 なかなか親離れ・子離れできないものです

親にも子にも理由がある
大阪府 小西文明さん

私は今、地域の当事者会の代表をしています。現在、両親からなかなか離れられずに、同居しています。
私は、若い頃、躁うつ病の症状がはげしく出て、ギャンブルに深くのめり込み、消費者金融に借金をしたり、眠前薬を服用後、寝ぼけてタバコを吸い、自分の布団を燃やしたことがありました。
その後、私自身のリカバリーが進んで、パチンコとタバコとは完全に縁を断ち切りました。
しかし、両親の脳裏には、今でも私のマイナスの部分の記憶が強く残っていると思われます。
親が子離れしようとしないのは、その子の病気の急性期や陰性症状を間近で見てきたからではないでしょうか。
子が親離れしようとしないのは、おそらくそのほうが楽な面が多いからだと私は思います。
ですから、国の福祉制度を利用して、一人暮らしをしている人や、障害があっても、結婚している人がうらやましいし、尊敬しています。
今、私にできることの一つは、年老いた両親にあまり心配をかけずに、ねぎらわれる人になっていきたい思っています。


子どもとの距離がむずかしい
東京都 ハイジさん

長男は26歳です。
親離れ・子離れが大切だと頭ではわかっているはずなのに、なかなかそれがうまくできません。
どうしてかな?と考えてみると、それは親である私が、かなり妨げになっていることが多いからのようです。
私は、感情の表出がかなり高いため、それが長男の日常的なストレスやプレッシャーとなっているようです。
支援者の方たちから、
「息子さんには、本当は才能や力がたくさんありますよ」
「すごくがんばっていますよ」とほめていただくと、
「え? 夜中にパソコンばかり打っていて、朝に寝るのにですか?」と、私は思ってしまいます。
それを敏感に察してか、長男は「自分は何もできない」と自信喪失になり、私もさらに拍車がかかる …ということを、くり返してきたように思います。
距離が近すぎるときには、どちらもとても苦しく感じます。
今後については、長男がグループホームに入居することを視野に入れています。
しかし入居=ゴールではないので、私は家族会に積極的に参加して、前向きに長男と向き合えるような関係を築いていけるようになりたいと思います。
長男の疾患・障碍に対して、家族だけで抱え込むのではなく、さまざまな支援者との連携や協力してくださっている皆様に感謝しながら、不器用ではありますが、これからも親子で過ごしていきたいです。