こころの元気+ 2011年11月号特集より
特集
もう少し時間が必要かも?
訪問看護ステーションACT-J(作業療法士)
足立千啓
精神科の病気の、回復への道のりはゆるやかで、充分な時間を必要とします。
たとえば、代表的な疾患である統合失調症などは慢性の病気です。症状が強まる急性期を乗り越えたあとも、再発予防のための工夫が欠かせないことはよく知られています。
とはいえ、人によって回復のペースや体験する症状も違い、どのように自分の病状や回復についてとらえてよいのか、困惑することも多いようです。思うような回復がみられないことからいら立ちを感じたり、「薬をのんでも効果を感じられない」と医療への不信感を抱いたり …。そうしたネガティブな気持ちを、募らせてしまいがちかもしれません。
病状が改善しづらい背景には、さまざまな理由や原因が考えられますが、いくつかの視点から、自分がぶつかっている壁に共通する、改善のヒントが得られるかもしれません。一人で考え込まず、まずはご自分の病気や障害がどのようなものか知ることから、少しずつ気持ちが楽になれるように思います。
その一つとして、主治医や周囲の専門家に治療や回復のプロセスについて聞く機会を得たり、心理教育に参加したりすることは有効かもしれません。また、同じような体験をもつ人たちとの出会いや体験のわかち合いは、大きな支えになるかもしれませんし、自分への理解や気づきがぐっと増すきっかけになるかもしれません。
そして、病気や障害を持ちながらも、元気に過ごせるアイデアや方法を見つけていくことは大切なポイントです。生活の充実感が増し、人生の再構築への歩みを少しずつ進めていけるきっかけになるかもしれません。このように、あなたが行動を起こすには、少し勇気が必要かもしれませんが、先につながる大きな一歩になると思います。
前記に加えて、あなたを身近で支えている家族や親しい友人などに、病気や薬、社会資源について、共通の理解や情報をもっていただくことは、生活を過ごしやすいものにしていくために役立ちます。あなたや周囲の方たちが必要とする社会資源情報の多くは、医療機関や市町村の精神保健担当部署、インターネットなどで得られると思いますので、活用してみてはいかがでしょうか。
この特集を通して、病気とのつきあい方について、皆さんが自分自身で、さらには、周囲の専門家や家族などと一緒に考えるきっかけになることを願っています。