私もつらくてさびしいです(本人)


こころの元気+」2014年5月号特集より


特集3
私もつらくてさびしいです
読者から読者への手紙


北海道のペン太より

あなたは、幻聴の存在を信じてますか?
もしかしたら、聞こえてますか?

私は、22歳からもう14年戦ってます。
電気ショックも新薬も効かず現状維持です。
やさしい幻聴ならうれしいのに、私の幻聴は私をいじめて楽しんいでます。
休まなきゃ消えないので、寝られないときは地獄です。
寝たきりのときに比べると少し落ち着きましたが、やっぱり何も聞こえないと幸せだな~と思います。
いつか消えると思いますか?
幻聴に耐える人生は、もういやです。


東京都 まみんこより

こんにちは。今日はどんな一日でしたか。
私は、少しだけ勇気を出してベランダに出てみました。
家の中にばかりいるので季節を感じることなく、うつ病と診断されてから、その日その日が昨日と同じに思えます。

今日も家族に、「がんばりすぎないで」「ゆっくり休んで」って言われちゃいました。
でも残念ながら、やっぱり私には言葉が理解できないのです。

あんなに毎日が忙しくて、一生懸命前向きに生きてきたつもりなのに、それって自己満足だったのでしょうか。
何もせずに過ごす毎日は、ただただ息苦しくて、この先、生きていくことが不安で怖くて仕方がないのです。

涙が止まらなくなって、『助けて』と叫んでみたりします。
「なぜ?」と聞かれるけど、もしわかるなら、私はこんなに苦しくも怖くもないでしょう。

でも、それを理解してもらうのはむずかしいみたいです。
みんな、そんな私に笑顔で返してくれるけど、私にはわかってるんです。
きっとそれはやさしさで、本当は私の心の矛盾を理解することはできないだろうって…。

ちょっと卑屈な言い方でしたか。
最近、人と話をしたとき、その人が、私が外に出せない文句や愚痴を言ってくれたのです。
私は、悪い感情を外に出すのは苦手で、一見ワガママに見えても、その人その人の思いがあるのだから否定してはいけないって思っていました。
今も思っています。
でもその人は、過去も環境も関係なく、「悪い」「おかしい」と言ってくれたのです。
私が叫びたくても叫べなかった言葉を外に出してくれたのです。
私は、その人がかわりに声に出してくれたことで心のつかえが少しとれたのです。

もし、私もあなたも自分の感情にだけ正直に生きられたら、こんなに苦しまずにすんだのかもしれません。
でも、それはそれで私たちの少しよいところだと思いませんか。
弱音を吐くことは悪いことではないんです。
誰かに助けを求めてもいいんだと思ったんです。

あなたはどうしていますか。
私達はもう少し、何でも心の中にしまいこまず、自分の感情に素直に生きてもよいはずですよね。
少しずつでも「そんな考え方もアリ!」って思っていきましょう。

あなたの苦しさは私の苦しさでもあります。
決してひとりぼっちではありません。
だいじょうぶです。


茨城県 まゆかんより

私は統合失調症です。
発症してから、たくさんつらくてさびしい思いをしてきました。
でも、私にはそれを分かち合いたくても分かち合えない症状があるのです。

離人症
現実感や実感が損なわれる症状です。

好きなことをしても「好き」という心の動きがなくなります。
友人と話しても何も感じません。
世界は平板で何一つ私に訴えかけません。
心に響くことがまったくなくなるのです。
激しい幻聴や妄想よりは地味な症状ですが、そのうそ寒い乾ききった心をかかえて生きるのはやはりつらいのです。

症状が出ているとき、仲間にそのつらさを話してもあまり理解してもらえません。
理解を得られたとしても「わかってくれた」という実感がありません。

度重なる孤独は少しずつ私を追い詰めて、「痛み」という実感を求めて自傷行為をしてしまうこともあります。
つらくて泣きたくても、「つらい」という生の感情が湧きません。
ただ息とお腹が苦しいだけで、涙は一滴も出ないのです。

きっとどこかにいる離人症をかかえている人に、この文章を書いています。
私の腕には自傷の跡があるけれど、あなたには、そんなことなるべくしないでほしいのです。
あなたがこの症状に苦しんでいる間も、まわりの人はちゃんとあなたを愛しているし、理解しています。
あなたにそれを感じる力がなくなっていても。

世界は広く色鮮やかに廻り続けています。
これまでもこれからも。
私たちはそこから弾き出されたわけじゃないのです。
立派にそこにいるのです。
ただ感じ方が違うだけで。

そしてあなたには、症状の陰であっても、自分を守り、世界を信じ、心の力を蓄えてほしいのです。
圧倒的な症状に打ちのめされて、そんな気持ちにはなれなくても、そんなこと関係なしに、心はちゃんと生きようとするし前に進もうとするのです。
いつか、豊かな自分に巡り会ってください。

 

こころの元気+」2014年5月号特集より