「家族の相談カフェ 困ったことはマスターに聞け」
「こころの元気+」2019年7月号(149号)より →「こころの元気+」の連載について
回答者:鈴木高男(茶房つむぎのマスター/摂食障害ポコ・ア・ポコ代表)
66こめのご相談
病名が決まらず不安な息子について、病院を変えたことを悩む親からの相談
息子は22歳です。
中学のときに不登校となり、そのままひきこもりました。
15歳のときに医療とつながりました。
病院を変えるたびに病名が変わるという話を聞きますが、息子の場合もそうで、4か所目で発達障害と言われました。
病院を変えたのは病状の改善が見られないからです。
本人は自分が何の病気なのか不安を常に持っていて、病名を確定してほしいと望んでいます。
病院を変えずに1人の先生に長く診てもらったほうがよかったのかと悩んでいます。
回答:家族の役割は日常生活
親も当事者も、医師で病名が変わるのでは信頼も薄れるし、はっきりした病名を知りたいのは当然だと思います。
日常生活で問題が発生し、解決できなかったり、何か症状があると医療につながることが多いと思います。
でも、親も本人も悪いところばかりを見ていて、病状が少しずつ改善していても気づかないこともあります。
そして、よくならない、前より無気力になった、あるいは違う症状があると、病院を変える場合が多くあります。
私は医師ではないのですが、医師は、当事者と話して今出ている症状からいくつかの病名を考え、しばらく観察して検査をした結果、病名を言われていることが多いようです。
症状が変化することもあるので、そこで病院を変えると、そのときに強く出ている症状から病名がつくこともあります。
一次障害、二次障害といった合併症の捉え方もあり、病名が変わることもあると思います。
しかし、病名が変わっても、病名が複数でも、家族の役割は変わりません。
日常生活の改善は当事者と家族が進めていきます。
日常生活の具体的な改善方法を医療者に求めるのはむずかしいことです。
本人と家族がともに日常生活の幅を拡げていけると、症状の改善にもつなげていけると思います。
病名が確定すると安心するでしょうし、病名で薬も変わることがあるので心配だと思います。
ドクターショッピングが悪いわけではありません。
医療者にもピンからキリまでいることは確かなことですが、医療者の良し悪しはなかなかわかりません。
また人によって評価も異なりますが、家族会のような場所には、医療者の情報がたくさん集まります。
相性が合う医師に巡り会えることも大切なことだと思います。
回答者:鈴木高男
profile
すずき・たかお●摂食障害の娘と向き合う中で家族会の必要性を痛感。
平成10年に家族会を結成。家族会やインターネットを通じ、情報提供や相談を受けている。