「こころの元気+」2017年7月号125号 特集3より →『こころの元気+』とは
精神科病院での身体拘束の体験談
身体の自由をうばわれる「拘束」や自分の同意なしに入院させられる「措置入院(そちにゅういん)」。
実際にそれらを体験した方達からの投稿です。
二度と
(神奈川県)オリーブさん
薬を一度に大量に飲み(OD:オーバードーズ)、一人暮らしなので自分で救急車を呼び、病院で意識が戻ると拘束されてました。
点滴が外れたらいけない、ベッドから落ちたらいけない、とのことらしいですが、私的には非常に人間としての尊厳を傷つけられ、怒りでいっぱいでした。
「私の尊厳が…」と、まだ薬が完全にぬけず、ひ弱な声がやっと出る状態で訴えました。
暴れないと約束させられ、身体をしばりつけているものをとってもらい私は安堵し、また眠りに落ちていきました。
「暴れるはずなんかない!」
長い間家族関係で戦い、ひどく傷ついていて、もう死にたい気持ちでした。
ODは3回目でした。
父にしばっていいか聞いたらしいですが、「本人がいやがるからだめです」とは断ってくれず、父の配慮のなさに私は怒りを強く感じました。
「二度とあんな屈辱的な思いはしたくない!」と。
あれから5年。
ODの衝動に駆られても「薬をのんでも解決にはならない!」とふみとどまっています。
躁状態で
(千葉県)あははさん
7年前、私は双極性障害の躁状態におちいり、真夜中に救急車で入院させられ、朝になり目が覚めたとき、身体に違和感がありました。
全身拘束で、動きたくて動きたくて、暴れてももがいても、どうすることもできず、唯一できたのは大声で助けを求めることだけでしたが、誰も反応してくれませんでした。
後からわかったのですが、そこは二重扉で、吸音板の完全防音の部屋で何をしたところで意味がない状態でした。
入院して初めて食べたのがお昼のラーメンで、女性看護師さんが持って来てくれて、会話できたとき、とてもうれしかったのを記憶しています。
次第に拘束部位が減らされましたが、やることが思いつかず、ずっと腹筋ばかりして腹筋が割れました。
拘束が完全に解かれたあとは、一人カラオケして時間つぶししていました。
不思議なことに、気分の高揚が拘束と投薬で落ち着き、命の危険から脱することができ、今は助けられてありがたく思っています。
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