「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは
うつ病の経験が精神看護につながり一本に/niesさん 福岡県
10年前、私は21歳。看護大学3年生で、臨床実習真っ直中でした。
いちばん最初の実習先は、精神科の急性期病棟で、うつ病の方を担当させていただきました。
その後、外科、保健所、訪問看護、内科、小児科、産婦人科などひととおりの科をまわり、翌年には長かった1年間の実習生活が終わりました。実習が全て終わったら、今度は卒業研究と看護師・保健師の国家試験の勉強の毎日でした。めでたく卒業し、看護師・保健師の国家試験にも無事に合格し、春から、大学病院で新人看護師として働くことになりました。
大学病院では、眼科・皮膚科の混合病棟に配属されて、朝早く家を出て、夜遅くに家に帰る、そんな生活でした。
就職して半年が経過した頃、食欲が無くなり、抑うつ気分も出現し、師長の勧めで院内の心療内科を受診し、即日で休職の指示が出ました。病名は、「うつ病」でした。
うつ病になり、2年半、病気休職をし、その後退職しました。
退職後は病院に通院してリハビリを受けながら、クリニックや特別養護老人ホームなどで働いていましたが、長く続いても1年でした。その後、2回の入院を経験しました。入院中に、マインドフルネスや弁証法的行動療法などを学びました。この2回の入院経験が、私の原点になっていると思います。
病状は、一進一退を繰り返しながらも、徐々に徐々によくなっていきました。
退院後、精神科系のグループホームの世話人の求人を見つけ、応募し、採用されました。看護師免許を持っていたので、それも生かして働いて下さいと言われ、現在は精神障害を抱える方々の健康管理を看護師という立場で担っています。10年前は自分が精神科系のお仕事に就くとは、思ってもいませんでした。
現在の職場は、自分にとても合っているようで、調子を大きく崩すこと無く、安定して経過しています。
10年前、看護学生としての最初のスタートを精神科で始めて、うつ病の方を支援させていただき、看護師1年目も、自分自身がうつ病になり、現在の職場でも精神看護に携わっていることを考えますと、私のリカバリーストーリーは、発病する前から序章として始まっていたのかもしれません。
一つ一つの経験は点にすぎなかったのですが、10年間を振り返って考えてみると、1本の線に繋がりました。
毎日の看護師としての、一つ一つの経験や、入居者さん方とのふれあいが私をより、私らしくさせてくれ、リカバリーに繋がっていると感じています。