資格と結婚が契機となり


「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは

資格と結婚が契機となり / 清野さやかさん 千葉県

私は双極性障害Ⅰ型と向き合って今年で12年目になります。

大学を卒業し、塾講師となった私を襲ったうつ状態は「死にたい」と思いつめる程、重いものでしたが、そのまま放置した結果、1年後に重い躁状態となりました。

医療保護入院となり、保護室を3週間経験する等、私にとって精神科医療との「出逢い」は決してよいものではありませんでした。

今から10年前には2度目の医療保護入院を経験し、再び「自らの人権がひどく侵されている」という思いを抱きました。

「精神疾患を持っていても、自分の納得のいく医療を受け、自分の望む人生を歩みたい」という確かな願いが私の中で芽生えた時期です。2度の入院で計5ヶ月を精神科病院で過ごした私にとって、「隔離」や「拘束」、「厳しいルール」が精神疾患にとって、一律に有益なものであるとは、とても思えませんでした。

そんな思いを強く持ちながらも、実家暮らしの私にとって、家族との関係性の中で、様々な苦労があり、「自分らしい人生」を謳歌するだけの余裕や状況とはまだ程遠いところにいました。魚焼きグリルを用いて魚を焼くことも、灯油の交換をすることも、母親からは危険視され、実家にいる間はそれらの作業に取り組ませてもらうことができませんでした。また障害者手帳取得や自立支援医療利用についても、母親の反対が続き、活用するまでには、長い年月がかかりました。

そんな私の人生を変える大きな契機がありました。

1つ目は「精神保健福祉士」資格取得です。

資格取得前より、精神保健福祉の分野で既にボランティアや仕事を始めていましたが、資格取得までの過程において、自身の心身コントロールや他者理解をする上で、大変多くのことを学び、また素晴らしい「出逢い」にも恵まれました。「当事者経験のある精神保健福祉士」という強みのある支援者となったことは、働く上での自信にも繋がりました。

2つ目の契機は「結婚」です。

仕事や人生を見直す為に出かけた長野ひとり旅において、古民家で働く旦那さんと知り合いました。知り合って半年、付き合って2ヶ月で結婚した私たちでしたが、長い親友のような関係性が今も続いています。家事は苦手だと実家の家族からは思われていましたが、掃除も洗濯も料理もとても楽しく、仕事との両立も今では無理なくできています。

「自分らしい人生」を謳歌し、「私たちらしい人生」を歩み始めた今を心より幸せに思います。