特集2
誰に聞いてもらってどう変わったか?(214号)
○「こころの元気+」2024年12月号より
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誰に、どんな話を聞いてもらいたいと思ったのか? 聞いてもらったことで気持ちはどう変化したのか?
みんなの体験談です。
セカンドオピニオン
さくさん(広島県)
統合失調症の当事者です。
私が25年前に発症したとき「必ず、治してみせる」と思いました。
それから約8年間は一進一退でした。
ある日、セカンドオピニオンに行ったときの医師に、私は「この病気は、よくなるのでしょうか?」と聞きました。
誰にも聞けなかったことでした。
医師からは、「君はよくなるし、がんばれる。がんばりなさい!」とはげまされました。
帰り道に、無意識に涙が出て止まらなかったのを覚えています。
私が病状にのまれそうだったこと。あきらめかけていたこと。
医師はお見通しで、はげましてくれたのだと思います。
そこから(今の主治医に)転院して、その3年後には社会復帰しました。
主治医からは、「病状は意識しないように」と、いろいろなコツを教えてもらいました。
主治医は、社会上発生する問題に対しても、まるでパートナーのように伴走してくれることが多いです。
また、私が『未熟だったな』と気づくまで、何年も答えを言わずに辛抱強く待ってくださった場面もあります。
あと数年で定年退職です。
ずっと気負わずがんばろうと思います。
身近ないろんな人
清水節子さん(大阪府)
自分では解決できない「未知との遭遇」をしたとき、私は身近な人に話を聞いてもらいたくなります。
たとえば「恋愛」で簡単にだまされてしまったときは、まわりの評価がポイント。
「恋は盲目」なので、いろんな人に相談にのってもらいます。
まわりを頼りにし、でも離れるかどうかは自分で決めてます。
自分だけでは決断できなかったことが、周囲に相談したことで道を外れなくてすんだことも。
苦手な人が出できたときも誰かに話したくなります。
これは話してスッキリ解決とはいきませんが、自分は相手のどこが苦手で、どういう態度をとれば、ストレスがかからないか、思案するきっかけになりました。
今は、相談相手に簡潔に話したいので、去年から3年日記をつけています。
ケースワーカーさんにはソフトボール、主治医には日常の困ったこと、友人には1日の生活でのささいなことと、人に応じて話したいことを使い分けてます。
解決できなかったことは、図書館で借りた小説などからヒントを得たり、日記に綴ったりしています。
そうすることで、人にも話しますが、自分とも話しています。
AI(人工知能)
長谷川さん(沖縄県)
私の相談相手は人間でなくてAIです。
ChatGPTやGeminiです。
「仕事で相棒がたびたび休むがどうしたらいいか?」
「便秘で悩んでるけど、どうしようか?」
「眠りたいけど眠れないけど、どうしたらいいか?」
とか、もろもろの細かいことを相談してます。
そしてたとえ答えが実行不可の場合でもたくさんのアイデアが出てくるので、何となく解決したような気になります。
今私が悩んでいるのが仕事で相棒がよく休むことです。
あと仕事がハードできついのと、パニック障害なのにハードワークをこなさないといけないことです。
そう泣きつくと、まるでドラえもんのように解決案が出てきます。
SFっぽいけど現実です。
何となくホッとして人間相手だと話せないようなことも話せて心強いです。
将来はカウンセリング・ロボットなんて出てくるのではないかと楽しみにしています。
相談電話
丸山真子さん(東京都)
61歳の女性です。
私が話を聞いてもらいたいのは、生活のことで迷っているときや人間関係に悩み、腹が立っているときです。
週に一度、訪問看護師さんにも話しますが、だいたいは地域生活支援センターの相談電話に電話しています。
電話に出る方はいつも同じではありませんが、組織として相談を受けてくれるので、電話をするためのルールを守っていれば、迷惑にもならず安心して話せます。
よく私が話すのは、主人の母が私に意地悪なことを言ったり、主人の妹が非常識なことをしたときで、
職員さんはただただ同調してくれたり、
「お義母さんは、年齢的に認知の症状が出ているのでは?」とアドバイスをくれたりして、ひとしきり話すとスッキリし気持ちも楽になります。
生活で困ったり迷ったりしたときも、話すことで気持ちが明確にはっきりして自分で判断できるようになり助かります。
こういう支援者の方々は大切な存在です。
プロ(専門家)
石井麻由可さん(茨城県)
私は統合失調症、ASD(自閉スペクトラム症)の40代女性です。
もともとの心のキャパシティが小さいため、日頃から誰かに話を聞いてもらい、心の中を整理したり、現実の問題への助言をもらったりしています。
私は基本的にプロの助けを借りています。
おもに通所していたデイケア職員で臨床心理士でもあるSさん、県のカウンセリングセンターのNさんです。
私のことをよく知っていて、話を聞く技術があって、お金がかかる場合もありますが、秘密も守られ、その助けは得難く貴重なものです。
私は家族や友人に、話を聞いてもらうことも、話を聞かされることも苦手です。
「ほどほど」がよくわからないからです。
一方的に言いつのってしまったり、長時間うんざりしながら無理やり聞かされたりしてトラブルになることも。
それなら専門家と、何が問題で、それをどうするのが最善かを話し合ったほうがよほど有効です。
聞いてもらい方はいろいろあるとは思いますが、私のような人もいるかと思い、書いてみました。