利用できる制度や施設について聞く1


精神科の診療所や精神病院に行くと、医師や看護師が地域で利用できる制度や施設について、教えてくれることがあります。その診療所や病院にソーシャルワーカーがいるか聞いてみましょう。
地域で使える制度や施設については、ソーシャルワーカーがよく知っている場合があります。
もしも、医師に聞いてもよくわからない時や、その診療所や病院にソーシャルワーカーがいない場合には、お住いの市区町村の役所に行ってみてもいいかもしれません。お住いの市区町村に問い合わせて、福祉課または、障害福祉課があれば、そこで自分の使える制度や施設について、リストアップしてくれる場合があります。
各県ごとに精神保健センターがあります。そこでも、自分の使える制度や施設については相談に乗ってくれる場合があります。
また、保健所や保健センターが地域にあれば、利用できる制度や施設について、聞くことができます。
診療所や病院の受付事務をしている人に、自分がどこに行けば、使える制度や施設を問い合わせたりできるか聞くのもいい手かもしれません。医療事務をしている人は、どこに行けば申し込みや問い合わせができるかだけ知っている場合があります。
詳しくお知りになりたい方は知って安心メンタルヘルス12の福祉サービスという本も、コンボから出版されていますので、そちらを参考になさってもいいでしょう

こころの元気+特集から見てみましょう


私の役割、私の居場所


語れる自分がいる
奈良県/井上和哉さん

私は、日中の活動場所として地域活動支援センターを利用しています。
ほとんどの施設は、エリアごとで区切られ「居場所」という言葉を失ったことがありました。
私は普段、移動のための支援を受けています。そこでヘルパーさんとの出会いであったり、他施設を使うことで自分の居場所を確保することができました。
しかし自立支援法で、この移動支援も市町村で予算を組まれているので、県や国からの支援費が少なくなってしまい、ヘルパーさんを自由に選択できなくなりました。本当に使いたい支援を受けられない自分に不満を感じています。
そんななかで、自分は一人じゃないと感じたことがありました。地域活動支援センターを利用しながら、スタッフが「京都や大阪の読売新聞のヘルパー研修で話しに行きませんか?」って言ってくれました。
京都での体験発表や大阪のヘルパー研修で、まだまだ自分は未熟だと感じたことも多かったです。社会資源から生まれたものが語りであり、それは心の病いを持つ人にとって体験を心の宝物だと感じることもありました。
「語れる自分がいるんだな」って思うと、入院していたときは体験を語ることなんてなかったけど、今では元気になって語れる自分がいることに気づきました。
それから、主治医の先生から教わった対人関係についての助言ですが、「近すぎても遠すぎてもダメ。その中間が一番ですよ」といわれた言葉が、僕にとって一番うれしい主治医からのプレゼントです。


私の居場所のさがし方
茨城県/あゆみさん

居場所は、誰かに与えられたり、提供されたりするものではありません。自分で見つけ、つくり出すものです。
では、いったいどうすれば居場所を確保できるのか。私の体験から、手順をあげていきたいと思います。
自分一人の空間を確保するどんなに他人と一緒にいても、帰ってくると落ち着く、自分「一人」の空間をつくります。それは自分の部屋でも公園のベンチでも病室のカーテンで仕切られた場所でもかまいません。
一人の空間でうまく過ごせないことには、他人との空間でうまく過ごせないからです。
他人との空間に身を「置いてみる」家族でも社会の中でもかまいませんが、とにかく自分がいたいと思う場所が見つかったら、謙虚に、その場を借りるつもりで、ちょこんといてみるのです。
初めはいづらいのは当たり前ですが、自分がいたいと思うくらいの場所なのですから、ちょっと我慢。そして積極的に、「自分はここにいるよ」とアピール(やりすぎ注意)。
別に、何かしなくてはならないというわけではなく、おしゃべりに参加してみたり、他人の話を聞いてみたり。疲れたら、一人の空間に戻ればいいのです。
役割をもらう、もしくは探し出すまでで、居場所は確保できます。今度は、そこから一歩抜け出します。役割なんて最初はわからないのは当然ですから、「何かやることはない?」と尋ねてみることです。
きっとまわりも喜んで、教えてくれると思います。


地域活動支援センターという居場所
茨城県/試行錯誤の毎日さん

病気になってから二五年。ここ一五年間、ひたすら自分の居場所を探し続けています。
自信を持って「私の居場所はここ!」と言える場所が未だにありません。居場所=「物理的な空間と共に、心理的な安心感・充実感が得られる所」だと私は思っています。
五年前の統合失調症との病名告知で、治療法が、服薬と社会や他者との接点を持ったリハビリであると説明されてから、それまで家にこもっていた私が、地域活動支援センター(以下、センターと記す)へ通うようになりました。
ここは通過点に過ぎない場所なのでしょうが、今は、このセンターが「自分の居場所」と感じられつつあります。ここで、主に月刊の広報紙づくりのお手伝いをしています。
センターという空間(場所)がある広報紙づくりという自分がやること・すること・できることがあるこの二つがそろっているから「私の居場所」だと感じられつつあるのだと思います。それプラス、その作業を用意・提供して下さるセンターのスタッフの存在です。
自分の居場所・役割づくりには、物理的空間、心理的充実感を得られるなすべきこと、支えて下さるサポーター、この三本柱が重要だと感じます。
居場所・役割があると感じられるから、「なんとか生きていられる」、今はそんな状態です。それくらい居場所や役割は私にとって欠かせないものです。


こころの元気+21号 特集より