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第115回
リフレーミング(212号)
○「こころの元気+」2024年10月号より
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筆者:相川章子
聖学院大学
▼リフレーミングとは?
リフレーミングとは、「リ・フレームする」ということで、直訳で「再枠づけする」となります。
つまり、物事の捉え方の枠組みを変える(ずらす)ことで、今まで見えなかったものが見えて、気づかなかった世界観で物事を捉えられることを表しています。
コップに半分の水が入っているとします。
あなたはこれを見て「半分しかない」と思いますか?
「半分も入っている」と思いますか?
コップに水は満杯に入っているものという前提だと、空白部分に着眼して「半分しかない」となり、コップが空であるという前提だと、入っている水に着眼して「半分も入っている」となります。
▼生きやすさに役立つ
リフレーミングは、物事を捉え直し、より生きやすくするのに役立ちます。
私が行なっている「ピアサポート講座」の1コマに、リフレーミングがあります。
そこでは多義図形(見方を変えると、まったく異なるものが見えてくる図形や絵。)を見ながら、枠組みを変えると見えてくるという体験をした後、自分の短所を1つあげて長所に変えてみるというワークを行います(※書籍『ピアサポートを文化に!』へ)。
たとえば、私は「何事もゆっくり」なのが短所です。それをリフレーミングすると「何事にも慎重(ていねい)に取り組む」といえます。
自分ではできない場合、受講者みんなで考えます。
すると「なるほど」というリフレーミングのアイデアが出されます。
▼母はリフレーミングの天才
桜が満開の晴れた朝、母の通院日に「帰りにお花見しよう」と言って出かけました。
歩けず1人で外出できない母は、この春初めての花見の機会でした。
ところが帰る頃に小雨が降り始めてしまいました。
私が「雨で残念…」と言うと、母は「あら、雨が降ったくらいのほうがお花はきれいよ」
そう言われると、雨に濡れた桜は艶やかで、晴れた日の桜とは異なる美しさに気づかされます。
母は毎日こんな調子で、一緒にいる私は一瞬幸せな気持ちになります。
▼立ち位置をずらす意味
私達は、生きている中で、自分なりの立脚点というものを持つようになります。その立ち位置からでは、多角的に見ようとしても、どうしても見えない部分ができます(車でいう「死角」)。
でも、ちょっと立ち位置をずらすだけで容易に見えることがあります。
ピアサポート活動で、当事者の視点から今の支援を捉え直してみると、「支援者」の立ち位置からは見えなかったことが、こんなにもたくさんあったのか、ということに気づかされます。