ちょっと知りたい! サイコロジカル・ファーストエイド(208号)


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第111
 サイコロジカル・ファーストエイド
(208
号)
○「こころの元気+2024年6月号より
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筆者:
山田幸恵
東海大学文化社会学部 心理・社会学科)



サイコロジカル・ファーストエイドとは?

戦争や自然災害、事件や事故などの深刻な危機的出来事に見舞われて、助けが必要かもしれない人に行う、人道的、支持的な支援のことです。
Psychological First Aidの頭文字をとってPFAと呼ばれます。

 

誰に対するどんな支援か?

ファーストエイド(応急処置)というように、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)は危機的出来事にあったばかりで苦しんでいる人々を対象にします。

子どもも大人も対象ですが、望んでいない人には押しつけません。
支援を必要とする人々に手をさしのべるためのものです。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)には、心理的支援だけではなく社会的支援も含まれています。

対象者のニーズ(必要なもの、こと)や心配事を確認し、生きていくうえで基本的なニーズ(食料、水、情報など)を満たす手助けや、その人が情報やサービス、社会的支援を得るための手助けをします。

 

支援する人に求められること

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)は専門家が行うカウンセリングとは異なります。
支援者が安全な形で心理社会的ケアを提供できるようにすることを目的としています。

支援者は、敬意をもって相手に対応すること、そして相手の権利を尊重して行動することが求められます。
話したい人がいればその人の話を聞きますが、話すことを無理強いしません。

 

人によって異なる影響

危機的出来事が起きると、誰もが何らかの影響を受けますが、それに対する反応や感じ方は人によって大きく異なります。
人がもつ困難に対処する強さと能力を信じ、対象者が「自分の力で自分を助けられる」と感じることができるよう支援します。

一方で、特別な支援を必要とする可能性がある人もいます。
情報を把握し、そのような人を他の専門的な支援につなぐことも大切な支援です。

日本は自然災害が多い国です。
災害に備えるためにも、サイコロジカル・ファーストエイドが広まり、研修を受ける支援者が増えることが望まれます。

 


文献 
World Health Organization, War Trauma Foundation and World Vision International (2011).Psychological first aid: Guide for field workers. WHO: Geneva. (訳:国立精神・神経医療研究センター、ケア・宮城、公益財団法人プラン・ジャパン (2012). 心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)フィールドガイド.)

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