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第108回 PPI
(Patient and Public Involvement)(205号)
○「こころの元気+」2024年3月号より ○申込について ○申込はこちら
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筆者:黒川常治
▼PPIとは?
PPI(Patient and Public Involvement)という言葉を聞いたことはありますか?
僕も最近知った言葉です。
日本語で「患者・市民参画」となります。
参加ではなく、参画(さんかく:参加よりも計画から積極的に関わるイメージ)です。
イギリスの研究分野で「患者や市民と共に研究が行われる」という考え方で始まりました。
日本では癌治療領域で進み始め、最近では研究だけでなく、医療・開発・政策・地域計画など広がりをみせています。
▼患者の声
患者(patient)には、症状や薬の副作用がある暮らしがありますが、長らく医療のあり方や薬の開発に、患者のそのような声は積極的には反映されていませんでした。
症状を改善することが優先だったのと、医療の絶対的な存在が強かったからでしょう。
徐々に患者の声を聴くことが増えてきて、今『こころの元気+』にも多くの患者の声が集まっています。
PPIではさらに深いところ、国や地域の計画を立てるときや薬の開発に患者達が参画し、専門家達と一緒に考えていこうというものです。患者の経験・知見・視点を取り入れて内容を深め、患者のよりよい生活へ近づけられると期待されています。
副作用や使いづらい点、
使用の感想、
生活への影響、
あると助かるもの、
配慮してほしいことなど、
専門家だけでは知り得なかったことが、新しいサービスや支援、開発の種になります。
▼実際に参画してみて
僕自身も自治体の自立支援協議会の当事者委員として参画し、意見を出していました。
当時はヘルプマーク(支援や配慮の必要を知らせるマーク)が出始めた頃で、配布場所が限定的だったので、アクセスしのやすいところで、わかりやすく展開してほしいことを伝えました。
障害者分野の研修会の内容なども他の委員達と検討しました。
参画にあたり
意見は誰に何人に聴けばいいか。
言いやすいか。
広く意見を聴けているか。
わかりにくい言葉はないか。
どちらかの立場が強すぎていないか。
配慮はどうか
など課題もあります。
僕はPPIで、他の疾患患者やさまざまな立場の方とつながり始めています。
PPIが身近になって、いろんな意見が集まり、よりきめ細やかな治療、支援、サービスが広まることを望んでいます。
参考資料:
○医薬産業政策研究所 PPI(Patient and Public Involvement)の最新動向-患者・市民参画の成長期-
○厚生労働省 第83回がん対策推進協議会(資料):患者・市民参画(PPI)の現状と展望(帝京大学 有賀悦子)