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第97回 Iメッセージ(アイメッセージ)(193号)
著者:岡田久実子(さいたま市精神障がい者 もくせい家族会 副会長)
▼Iメッセージ(アイメッセージ)とは
「Iメッセージ」は、
「私(I)は~と思う」
「私(I)は~と感じる」
というように、相手の行動に対して、私がどう思ったか、感じたかを伝えるコミュニケーションの方法です。
私が「Iメッセージ」を知ったのは、家族による家族学習会プログラムで使用するテキスト『じょうずな対処今日から明日へ』からでした。
そこには同じことを伝えるにしても、「相手の言動」についてより、そのことについての「自分の気持ち」を話すほうが、伝えたいことがちゃんと伝わると、例文も提示されていました。
例文を読んだときには、少し不自然さを感じたのですが、それが間違いないと確信する体験をしました。
▼私の体験談
娘が統合失調症の再発で、服薬調整中のできごとでした。
ひどく険悪な表情をした娘は、食後にいつものんでいる薬を手にすると、
「何だか、こんな薬をのんでいるから具合が悪くなっている気がする。もう、薬をのむのをやめる」と低い声でどなるように言ったのです。
私は「ついに、この日が来たか…」と全身に冷水を浴びたような感覚に襲われました。
でも、ここで否定してはいけない。
娘の「気持ちを受け止め」て、「私の思い」を伝えなければ…と、必死で伝えるべき言葉を探しました。
「そうなんだね。この薬をのんだから具合が悪くなるように感じているんだね。でもお母さんは、ずっとあなたを見てきたよ。この薬をのんでいるとき、あなたはとても元気で落ち着いていたことを、お母さんはよく知っているよ」
こんな言葉をしぼり出すように必死の思いで伝えました。
すると娘はギロッと私をにらむと、「じゃあ仕方ない。のんでやるか」と薬をのみ、これ以降このようなことは一度も言わなくなりましたし、服薬も欠かさず続けています。
このできごとは、今では我が家の笑い話になっていますが、このときの私は、本当に生きた心地がしませんでした。
でも、「Iメッセージ」という、相手の言動を否定したり、評価したりすることなく、そのことについて自分がどう感じたか、どうしてもらえばうれしいのか…「私の思いや気持ち」を伝えることの大切さを確信する貴重な体験でした。