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第96回 バーンアウト(192号)
著者:相川章子(聖学院大学)
▼バーンアウトとは?
バーンアウトとは、日本語では「燃え尽き」ともいわれ、提唱者であるフロイデンベルガーらは
「自分が最善と確信して打ちこんできた仕事、生き方、対人関係などが、期待とはまったく違った結果に終わり、それによりもたらされる疲弊あるいは欲求不満の状態である」
と定義しています。
バーンアウトの状態は人により異なり、消耗しつくした感じ、さまざまな身体症状、感情の枯渇、自己嫌悪や自己否定感、人と関わりたくなくなる、感情のバランスを失うなどです。
私の場合は「笑えない」ことに気づき、その後さまざまな身体症状が現れ、バーンアウトだとわかったことがありました。
▼知っておくとよい理由
引き起こす要素として、
①手を抜けない大変な状況が続く
②いくらがんばっても、むくわれない
③使命感や責任感、思い入れが強い
の3つがあげられています(※1)。
(※1:水澤都加佐+Be!編集部 2001 『「もえつき」の処方箋』アスク・ヒューマン・ケアより)
対人援助者はこの3つが揃いがちです。
最後の一滴があふれだし、どうしようもなくなって、限界に達していたと初めて気づきます。
それでも、
「こんな考えの私はダメだ。もっとがんばらなくちゃ」
「能力が足りないからだ」
とさらに自分を鼓舞(こぶ)したり、責めたり、「否認」してしまうことがあります。
これらは適切なバウンダリー(境界)を持てない場合に起きてしまうといわれています。
とりわけピアサポートにおいては、目の前の仲間(ピア)が、かつての自分と同じ苦しい状況だと思うと、自分と重ねて共感し、共感疲労やバーンアウトを起こすことがあります。
これも、自分と他者の感情や状況のバウンダリーを超えることで起きてしまいます。
自分も相手も心地よくいられるバウンダリーを意識することで、自分のかかえこみがちな傾向を知り、早めに休むなどの対応を心がけるなどをすれば、ある程度予防できるのではないかと思います。
▼これからの課題は何か
バーンアウトの前に、職場のスーパーバイザー(支援者の支援者)が一緒に考えたり、環境をつくることが大切ですが、日本ではその制度が整備されていないことが課題です。
ピアサポーターでは上司がピアサポーターである職場は限られています。
「全国ピアスタッフの集い(※2)」など、ピアサポーター同士の交流や学びの場で地域を超えてつながりあって、ピアサポーターのピアサポートが必要だと思います。
(※2:日本ピアスタッフ協会主催で開催しているピアスタッフ同士の学びと交流の場)