こころの元気+ 2012年6月号特集より
特集2
外に出られない時間の過ごし方
ネットを使って
大阪府
カミオさん
私の場合ですが、病気の症状で外に出られなかったとき(今でも外出困難ではありますが)、症状の出始めのうちは落ち込んでしまって、何もできませんでした。
しかし時が経つと、あきらめがついたのか、いろいろな「情報」を収集し始めました。このまま時間だけが流れていくより「いろいろな物事にくわしい人間になろう」という欲求が出てきたのです。
私には幸い、インターネットの環境が整っておりましたので、それを駆使してさまざまな情報を得ました。
たとえば、自分の耳に心地よいと感じる「音楽」を見つけるために You Tubeなどの動画サイトでいろいろな音楽を聴いては、いいなと思ったものを Amazonなどの通販サイトで代引きで購入したりしました。
時間だけはたっぷりありました。 そうしているうちに、さまざまな「音楽」情報が理解できるようになりました。
同様に、いろいろなジャンルの「本」を通販で購入し、多くの知識を得て「考える」ことの楽しみを知りました。
今ではその得た情報を反映させるべく、mixiや Twitter、Facebookなどの、インターネット上のコミュニケーションツールを使って情報交換をしたり、得た知識や普段考えていることなどを文章化し、書き込み、友人や知り合った方のご意見をいただいたりしています。
文明の利器はすごいなと思いつつ、使えるものはなんでも使って、今では時間を過ごすことを楽しんでいます。
ゆとりの時間は大きな収穫
埼玉県
灯路さん
現在、うつ病で自宅療養中の女性です。
二年前から職場の人間関係が原因で、仕事に行けなくなりました。
通院と趣味のライヴに出かけることもありますが、それ以外の時間は、掃除・洗濯物たたみなどの家事をしています。料理はつくれないので、後片づけ専門です。
家にいてばかりで申し訳ない気持ちで過ごしていましたが、いろいろと家のことをしていて「家事は意外と細かな作業が多くて、毎日するのはたいへん」だと、最近気がつきました。
外で忙しく過ごしていたときは、あたりまえのように思っていましたが、家族が過ごしやすいように、毎日家事をしてくれている母に、改めて感謝の気持ちが生まれました。
できる限り家の手伝いをしていますが、もちろん調子が悪くなるときもあります。そんなときは、好きな音楽を聴いたり読書をして、ゆっくり気分転換をします。テレビのミステリー番組を見るのも好きで、あっという間に時間が過ぎてしまうこともあります(笑)。
外に出られないことで正直、不安を感じるときもあります。けれども、時間に余裕ができたぶん、自分自分を見つめる機会が増えて、がんばり過ぎないようになりました。
仕事をしているときは、「あれもこれもしないと」と思いがちだったので、自宅で過ごして得られた心のゆとりの時間は、私にとって大きな収穫です。
不安感を減らして
山梨県
望月裕子さん
私は、フラッシュバックが起きると動けなくなります。 すごい音がして恐怖感におびえたり、いつ終わるともしれぬ闇に襲われたりして、長い時間を過ごさねばなりません。
それは、長い時には一〇時間にもおよび、つらくて救急車を呼んだりして、まわりを混乱させ、結局何の解決にもならずに家での過ごし方を考えざるを得なくなりました。
電話も電話代がかかるし、メールも相手が負担になり、お互いにうまくいかなくなって友達を失ってしまいました。
一人でも過ごせるようにならないと困ると思い、何があっても、救急車を呼ばないように、目立つところに紙を貼ったり、不安になったときにどうするか書いたり、電話する友だちを最小限にして、メールもやめました。
そして、不安を減らすようにしました。
不安感を与えるような人とのつきあいをやめて、さりげなく断ったり、そういう場所へ行くことをやめました。
そして、買い物に行ってもらったときに食材を買って好きな料理をつくることや、この不安はいつかは消えるとCDをかけたりします。
動けないときは、その辺にあるものを握りしめて、ひたすら目を閉じて祈り、つらいときは涙を流して泣きます。
そして、その後はなるべく頭を切り替える努力します。
あとは、できないことは、極力しません。 お風呂へ入らなかったり、洗い物がたまったりするけれど、別に死にはしないし、他のリスクを考えるとしかたないです。迷惑をかけて友人を失うよりいいと思います。
今は、土日に来てくれる友人と、絵を描いたり散歩に行けるようになり、うれしいです。
文章を書いて投稿
千葉県
髙見青磁さん
僕は文章を書いてみたいなと子どもの頃からおぼろげ気に思っていました。
学生時代や会社員時代は文章を書く時間なんか全然なくて、いつもあくせく働いていました。やがて、病気になって会社を辞めたあとは、きれいさっぱり何にも残らなかったです。 そんなとき、文章を書きたい気持ちが湧いてきて、何か書いてみたいと思うようになりました。
ライトノベルという小説のジャンルがあるのですが、毎年作品を募集している電撃小説大賞という賞に、自分の作品を送ってみたいと考えるようになりました。毎年五〇〇〇作品以上の応募がある賞です。
最初は小説なんて書いたことがありませんから簡単にはいきませんでした。簡単でないのは今でも同じです。でも、家から出ないで何もしないよりも、作品を書いているときのほうが気分的に楽かもしれません。何しろ家にいなければいけない理由ができますし。
調子のいいときは、一日に一万字ぐらい書けるときもあります。そのかわり、調子の悪いときは四〇〇字書くのもたいへんだったりします。書けたり書けなかったり、まるでジェットコースターのようですが、それがまたおもしろいです。書けなくて悶絶することのほうが多いのですが、書けたときの気持ちよさはすばらしいと思います。
去年、一作送って一次選考落ちでした。今年は二作品送ってみました。結果には期待していませんが、それでいいのだと思っています。