自傷、OD等から、PSWへ


「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは

自傷、OD等から、PSWへ /千葉県 高橋麻貴さん

就労移行支援事業所で生活支援員として働く当事者PSW(精神保健福祉士)です。

今この仕事に就いていることを、10年前の自分は想像すらしませんでした。しかし今までの道のりは確かに、自分が自分自身の足で歩んできたリカバリーの旅路であると実感しています。

私は中学生の頃、膠原病を発症しました。入退院を繰り返す学生生活と家族の共依存もあり、生きづらさを抱えながら大人になりました。

結婚、出産を経験しましたが、ついに生きづらさの大爆発! 自傷行為が始まり精神科へ入院、離婚する結果になりました。感情のコントロールが効かなくなり、薬はどんどん増え、自傷行為やOD(過量服薬)、浪費など様々なアディクション(嗜癖)を抱えるようになりました。もう以前のような普通の生活には戻れないと自暴自棄になっていました。

しかし病院を転々とする中、家族と物理的に離れるよう勧めてくださった医師、一人暮らしで生活保護を受ける際に相談援助をしてくださったPSW、そしてデイケアの仲間との出会い…多くの方々とのご縁の中で、少しずつ人への信頼を取り戻し、自立したいという希望を持つことができるようになっていきました。

デイケアで就活をする仲間から「合同面接会」「障がい者雇用」など様々なことを教えていただきました。

その時私は「障がい者雇用」という言葉すら知りませんでした。スタッフに「生活保護を受けていて、このままではいけないとは思うのですが…」と相談に行ったのが就労へ向けてのリハビリのスタートでした。

就労プログラムで仲間たちと働くことについてたくさん想いを分かち合い、働くために必要な多くのことを学びました。約2年のリハビリ期間を経て、障がい者雇用での就職に結びつき、生活保護からの自立を果たしました。

やがて働きながら、仲間を応援する仕事に就きたいという想いが芽生え、PSWの資格を取得するべく専門学校の通信過程に入学しました。働きながらの勉強も、デイケアスタッフや仲間が応援してくださいました。今年国家試験を受けて合格し、転職して就労支援の仕事に携わる今があります。

病気になって失ったものはたくさんありますが、得たものもたくさんあります。過去を全て受け入れることができたとは言えませんが、少しずつ自分自身を肯定できるようになりました。自分の弱さも認めることで、良い支援ができるようにも感じます。自分の中の当事者性も大切にしながら、支援員として成長していきたいです。